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開示審査基準[1]審査基準

独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律に基づく独立行政法人工業所有権情報・研修館の処分に係る審査基準等について

20050328情館004
平成17年3月29日

独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第59号。以下「法」という。)に基づく独立行政法人工業所有権情報・研修館(以下「情報・研修館」という。)の処分に係る行政手続法(平成5年法律第88号)第5条第1項の規定による審査基準等については次のとおりとする。

[1]審査基準

1.法第14条の規定に基づく保有個人情報の開示

法第14条の規定により、情報・研修館は、保有個人情報の開示請求があったときは、当該開示請求に係る保有個人情報に不開示情報が記録されている場合を除き、開示請求者に対し当該保有個人情報を開示しなければならないが、この際に考慮すべき事項は以下のとおりとする。

(1) 開示・不開示の基本的考え方

開示請求権制度は、個人が、独立行政法人等が保有する自己に関する個人情報の正確性や取扱いの適正性を確認する上で重要な制度であるため、法では、不開示情報以外は開示しなければならないとの原則開示の枠組みとしている。一方で、本人や第三者、法人等の権利利益や、国の安全、公共の利益等も適切に保護する必要があり、開示することによる利益と開示しないことによる利益とを適切に比較衡量する必要がある。
このため、開示しないことに合理的な理由がある情報を不開示情報としてできる限り明確かつ合理的に定め、この不開示情報が含まれていない限り、開示請求に係る保有個人情報を開示しなければならない。

(2) 開示の実施の方法との関係

法でいう「開示」とは、保有個人情報の内容をあるがままに示し、見せることであり、開示・不開示の判断は、専ら開示請求に係る保有個人情報に不開示情報が記録されているかどうかによって行われ、開示の実施の方法によって開示・不開示の判断が異なることはない。ただし、開示決定された保有個人情報の開示の実施に当たり、保有個人情報の保存、技術上の観点から、例えば、原本での閲覧を認めることが困難である場合に一定の制約を設けることは差し支えない。

(3) 不開示情報の類型

本条各号の不開示情報は、保護すべき利益に着目して分類したものであり、ある情報が各号の複数の不開示情報に該当する場合があり得る。したがって、ある保有個人情報を開示する場合は、本条の各号の不開示情報のいずれにも該当しないことを確認することが必要である。

(4) 不開示情報該当性の判断の時点

不開示情報該当性は、時の経過、社会情勢の変化、当該情報に係る事務・事業の進行の状況等の事情の変更に伴って変化するものであり、開示請求があった都度判断しなければならない。一般的には、ある時点において不開示情報に該当する情報が、別の時点においても当然に不開示情報に該当するわけではない。なお、個々の開示請求における不開示情報該当性の判断の時点は、開示決定等の時点(当該開示請求ごとの開示決定等の判断の時点)である。

2.不開示情報

法第14条に掲げる不開示情報に該当するか否かを判断するに当たって考慮すべき事項は、以下のとおりとする。

(1) 個人に関する情報(法第14条第1号及び第2号)

(1-1)解釈

法第14条各号に掲げる不開示情報のうち、個人に関する情報については、同条第1号及び第2号の規定に基づき判断することとする。当該規定の解釈に当たっては、以下の点に留意するものとする。

-1- 法第14条第2号本文
1)「個人に関する情報」
「個人に関する情報」(以下「個人情報」という。)とは、個人の内心、身体、身分、地位その他個人に関する一切の事項についての事実、判断、評価等のすべての情報が含まれるものであり、個人に関連する情報全般を意味する。したがって、個人の属性、人格や私生活に関する情報に限らず、個人の知的創作物に関する情報、組織体の構成員としての個人の活動に関する情報も含まれる。
「個人」には、外国に居住している者も含まれ、国籍を問うものではない。また、生存する個人に関する情報のほか、死亡した個人に関する情報も含まれる。
「個人に関する情報」の判断に当たり、原則として、公務員に関する情報と非公務員に関する情報とを区別していないが、前者については、特に不開示とすべきでない情報をハにおいて除外している。
2)「事業を営む個人の当該事業に関する情報を除く」
「営む」とは、同種の行為の反復継続的行為をいい、対価を得てなされるかどうかを問わない。
なお、「事業を営む個人の当該事業に関する情報」は、個人に関する情報に含まれるが、当該事業に関する情報であるので、法人等に関する情報と同様の要件により不開示情報該当性を判断することが適当であることから、本号の個人に関する情報から除外したものである。
3)「当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により開示請求者以外の特定の個人を識別することができるもの」
特定の個人を識別することができるもの」の範囲は、当該情報に係る個人が誰であるかを識別させることとなる氏名その他の記述の部分だけでなく、氏名その他の記述等により識別される特定の個人に関する情報の全体である。
「その他の記述等」としては、例えば、住所、電話番号、役職名、個人別に付された記号、番号(振込口座番号、試験の受験番号、保険証の記号番号等)等が挙げられる。氏名以外の記述等単独では、必ずしも特定の個人を識別することができない場合もあるが、例えば、年齢、性別、印影、履歴、振込金融機関名等、当該情報に含まれるいくつかの記述等が組み合わされることにより、特定の個人を識別することができることとなる場合も多い。
なお、「記述等」には、例えば映像なども含まれる。
4)「他の情報と照合することにより、開示請求者以外の特定の個人を識別することができることとなるものを含む。」
照合の対象となる「他の情報」には、その保有者が他の機関である場合も含まれ、また、公知の情報や、図書館等の公共施設で一般に入手可能なものなど一般人が通常入手し得る情報が含まれる。特別の調査をすれば入手し得るかもしれないような情報については、通例は「他の情報」に含めて考える必要はない。
5)「開示請求者以外の特定の個人を識別することはできないが、開示することにより、なお開示請求者以外の個人の権利利益を害するおそれがあるもの」
独立行政法人等の保有する個人に関する情報の中には、匿名の作文や、無記名の個人の著作物のように、個人の人格と密接に関連したり、開示すれば財産権その他の個人の正当な利益を害するおそれがあると認められるものがあることから、特定の個人を識別できない場合であっても、開示することにより、なお個人の権利利益を害するおそれがあるものについて、補充的に不開示情報として規定している。
-2- 法第14条第2号イ
1)「法令の規定により開示請求者が知ることができる情報」
「法令の規定」には、何人に対しても等しく当該情報を開示すること又は公にすることを定めている規定のほか、特定の範囲の者に限り当該情報を開示することを定めている規定が含まれる。
2)「慣行として開示請求者が知ることができる情報」
慣習法としての法規範的な根拠を要するものではなく、事実上の慣習として知ることができ、又は知ることが予定されていることで足りる。
当該保有個人情報と同種の情報について、本人が知ることができた事例があったとしても、それが個別的な事例にとどまる限り「慣行として」には当たらない。また、独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律(平成13年法律第140号。以下「情報公開法」という。)第5条第1号イの「慣行として公にされ」ている情報は、慣行として開示請求者が知ることができる情報に含まれる。
「慣行として開示請求者が知ることができ」る情報に該当するものとしては、請求者の家族構成に関する情報(妻子の名前や年齢、職業等)等が考えられる。
3)「知ることが予定されている情報」
実際には知らされていないが、将来的に知らされることが予定されている場合である。「予定」とは、将来知らされることが具体的に決定されていることは要しないが、当該情報の性質、利用目的等に照らして通例知らされるべきものと考えられることをいう。
具体的には、例えば、複数の者が利害関係を有する事項についての調査結果を当事者に通知することが予定されている場合において、開示請求の時点においては未だ調査結果の分析中であったため、通知されていなかった場合が想定される。
-3- 法第14条第2号ロ
1)「人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、開示することが必要であると認められる情報」
不開示情報該当性の判断に当たっては、当該情報を不開示にすることの利益と開示することの利益との調和を図ることが重要であり、開示請求者以外の個人に関する情報について、不開示にすることにより保護される開示請求者以外の個人の権利利益よりも、開示することにより開示請求者を含む人の生命、健康等の利益を保護することの必要性が上回るときには、当該情報を開示しなければならないこととするものである。現実に、人の生命、健康等に被害が発生している場合に限らず、将来これらが侵害される蓋然性の高い場合も含まれる。
この比較衡量に当たっては、個人の権利利益にも様々なものがあり、また、人の生命、健康、生活又は財産の保護にも、保護すべき権利利益の程度に差があることから、個別の事案に応じた慎重な検討が必要であるが、例えば、人の生命等の保護の達成のために当該情報を開示する以外の代替的方法があることだけをもって、当該情報を開示しないことにはならない。
なお、人の生命、健康等の基本的な権利利益の保護以外の公益との調整は、公益上の理由による裁量的開示の規定(法第16条)により判断することとなる。
-4- 法第14条第2号ハ
1)「当該個人が公務員である場合において」
「公務員」とは、広く公務遂行を担任する者を含むものであり、一般職か特別職か、常勤か非常勤かを問わず、国及び地方公共団体の職員のほか、国務大臣、国会議員、裁判官等を含む。また、公務員であった者が当然に含まれるものではないが、当該者が公務員であった当時の情報については、本規定は適用される。
2)「当該情報がその職務の遂行に係る情報であるとき」
「職務の遂行に係る情報」とは、公務員が独立行政法人等その他の国の機関又は地方公共団体の機関の一員として、その担任する職務を遂行する場合における当該活動についての情報を意味する。例えば、苦情相談に対する担当職員の応対内容に関する情報などがこれに含まれる。
また、本規定は、具体的な職務の遂行との直接の関連を有する情報を対象とし、例えば、公務員の情報であっても、職員の人事管理上保有する健康情報、休暇情報、人事査定・評価情報、給与等情報等は管理される職員の個人情報として保護される必要があり、本規定の対象となる情報ではない。なお、人事査定・評価情報や給与等情報は、法第14条第7号の不開示情報にも該当し得ることに留意が必要である。
3)「当該情報のうち、当該公務員等の職及び当該職務遂行の内容に係る部分」
ⅰ)どのような地位、立場にある者(「職」)が、どのように職務を遂行しているか(「職務遂行の内容」)については、たとえ、特定の公務員が識別される結果となるとしても、個人に関する情報としては不開示とはならない。
ⅱ)他方、公務員の職務遂行に係る情報に含まれる当該公務員の氏名については、これを公にした場合、当該公務員の私生活等に影響を及ぼすおそれがあることから、私人における場合と同様、個人に関する情報として保護に値すると位置付けた上で、ただし書イに該当する場合には例外的に開示することとなる。すなわち、当該公務員の職名と氏名の対応関係が、法令の規定により又は慣行として公にされ、又は公にすることが予定されている場合には、職務の遂行に係る情報について、本号のハとともに、イが重畳的に適用され、個人に関する情報としては不開示とはならない。慣行として公にされているかどうかの判断に当たっては、人事異動の官報への掲載その他独立行政法人等により職名と氏名とを公表する慣行がある場合、独立行政法人等により作成され、又は独立行政法人等が公にする意思をもって(あるいは公にされることを前提に)提供した情報を基に作成され、現に一般に販売されている職員録に職と氏名とが掲載されている場合には、その職にある者の氏名を一般に明らかにしようとする趣旨であると考えられ、慣行として公にされ、又は公にすることが予定されていることに該当することになる。
(1-2)具体例

本号の不開示情報に該当し、不開示となる可能性がある情報の例は、以下のとおりである。ただし、本例は一般的な例を想定したものに過ぎず、実際の運用に当たっては、個々の開示決定等の時点において、開示請求に係る保有個人情報に記載されている個々の情報の内容、性質等、個別の事情を総合的に勘案し、画一的、一律的にならないよう留意し、法第14条の規定等の趣旨に沿って慎重に判断するものとする。
また、当館職員の氏名については、職名と氏名の対応関係が慣行として公にされており、職務の遂行に係る情報について、本号のハとともに、イが重畳的に適用され、個人に関する情報としては不開示とならない。
なお、個別の情報の具体的な内容等によって、他の不開示情報に該当するものや他の不開示情報にも重複的に該当するもの等が存在する点に留意することが必要である。
当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と照合することにより、特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)
氏名、肖像、声、筆跡等特定の個人を表象する記述等
振込口座番号、試験の受験番号、保険証の記号番号、単独の役職名等特定の個人にのみ付され、特定の個人を識別することができる記述等
住所、電話番号、メールアドレス、年齢、性別、生年月日、印影、振込金融機関名、家族構成、勤務先、出身地、学歴、職歴、結婚歴等
その他他の情報と照合することにより特定の個人を識別できる情報

(2) 法人等に関する情報(法第14条第3号)

(2-1)解釈

法第14条各号に掲げる不開示情報のうち、法人等に関する情報については、同条第3号の規定に基づき判断することとする。なお、当該規定の解釈に当たっては、以下の点に留意するものとする。

-1- 法第14条第3号本文
1)「法人その他の団体(国、独立行政法人等、地方公共団体及び地方独立行政法人を除く。)に関する情報」
「法人その他の団体」には、株式会社等の商法上の会社、財団法人、社団法人、学校法人、宗教法人等の民間の法人のほか、政治団体、外国法人や法人ではないが権利能力なき社団等、外国政府(これに準じるものを含む。)、国際機関(国際会議その他国際的な協調に係る枠組みの事務局等を含む。)も含まれる。また、倒産や廃業、解散等により現時点で存在していない法人等についても、一般的には権利利益が継承された法人等の問題としてその正当な利益等を判断することになるが、個別の事案の内容によっては、「法人その他の団体」に含まれ得る。
一方、国、独立行政法人等、地方公共団体及び地方独立行政法人については、その公的性格にかんがみ、法人等とは異なる開示・不開示の基準を適用すべきであるので、本号から除き、その事務又は事業に係る不開示情報は、第5号において規定している。
「法人その他の団体に関する情報」は、法人等の組織や事業に関する情報のほか、法人等の権利利益に関する情報等法人等と関連性を有する情報を指し、例えば、事業活動を行う上での内部管理に属する経営方針、経理、人事等に関する情報、生産、技術、営業、販売、運営その他の事業活動に関する情報、名誉、社会的信用、社会的活動の自由など法人の権利利益に関する情報等も当然含まれる。また、個別の事案の内容によるが、複数の法人等に関する情報を合算した数値が、当該数値に関連する諸般の事情を考慮し、社会通念に照らして、特定の法人等又は特定の業界団体に関する情報と認められるのであれば、本号の情報に含まれる場合がある。
なお、法人等の構成員に関する情報は、法人等に関する情報であると同時に、構成員各個人に関する情報でもある。
2)「開示請求者以外の事業を営む個人の当該事業に関する情報」
事業を営む個人の当該事業に関する情報」は、事業に関する情報であるので、1)で掲げた法人等に関する情報と同様の要件により、事業を営む上での正当な利益等について不開示情報該当性を判断することが適当であることから、本号で規定している。
3)「ただし、人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、開示することが必要であると認められる情報を除く。」
当該情報を不開示にすることによって保護される法人等又は事業を営む個人の権利利益と、これを開示することにより保護される人の生命、健康等の利益とを比較衡量し、後者の利益を保護することの必要性が上回るときには、当該情報を開示しなければならないとするものである。
現実に人の生命、健康等に被害が発生している場合に限らず、将来これらが侵害される蓋然性が高い場合も含まれる。なお、法人等又は事業を営む個人の事業活動と人の生命、健康等に対する危害等との明確な因果関係が確認されなくても、現実に人の生命、健康等に対する被害等の発生が予想される場合もあり得る。
-2- 法第14条第3号イ
1)「権利、競争上の地位その他正当な利益」
「権利」とは、信教の自由、集会・結社の自由、学問の自由、財産権等、法的保護に値する権利一切を指す。
「競争上の地位」とは、法人等又は事業を営む個人の公正な競争関係における地位を指し、具体的には、製造、販売等において他社に優る地位など、様々なものがある。
「その他正当な利益」には、ノウハウ、信用等法人等又は事業を営む個人の運営上の地位を広く含む。なお、具体的に正当性を判断するに当たり、法令上又は社会通念上保護されることが相当である当該法人等又は事業を営む個人の利益を指し、公表を伴う行政処分の対象となった違法事実に関する情報はこれに含まれない。
2)「害するおそれ」
「害するおそれ」があるかどうかの判断に当たっては、法人等又は事業を営む個人には様々な種類、性格のものがあり、その権利利益にも様々のものがあるので、法人等又は事業を営む個人の性格や権利利益の内容、性質等に応じ、当該法人等又は事業を営む個人の憲法上の権利(信教の自由、学問の自由等)の保護の必要性、当該法人等又は事業を営む個人と行政との関係、競争事情等を十分考慮して適切に判断する必要がある。
なお、複数の法人等又は事業を営む個人に関する情報について、同様の事情があり、同様の理由が成り立つのであれば、いずれか一の法人等又は事業を営む個人について、「正当な利益等を害するおそれ」が認められれば、当該情報全体(当該複数の法人等又は事業を営む個人にとって)について不開示となる。
また、許認可等の申請における却下、拒否の事実や申告制度に基づく苦情等については、たとえ事実であったとしても、通常公にされず、公になると当該法人等の社会的信用などが侵害され法人等又は事業を営む個人の正当な利益を害するおそれがあるものであると判断し得る場合には、「正当な利益等を害するおそれ」があるとして、不開示となる。
さらに、公にされる情報自体からは法人等の権利等が害されるおそれはないが、「他の情報と照合することにより」その可能性が生じる場合には、「害するおそれ」があるものと判断することになる。
なお、この「おそれ」の判断に当たっては、単なる確率的な可能性ではなく、法的保護に値する蓋然性が求められる。
-3- 法第14条第3号ロ
1)「独立行政法人等の要請を受けて、開示しないとの条件で任意に提供されたもの」
独立行政法人等の要請を受けずに、法人等又は事業を営む個人から提供された情報は含まれない。ただし、独立行政法人等の要請を受けずに、法人等又は事業を営む個人から提供申出があった情報であっても、提供に先立ち、法人等又は事業を営む個人の側から開示しないとの条件が提示され、独立行政法人等が合理的理由があるとしてこれを受諾した上で提供を受けた場合には、含まれる。なお、この合理的な理由はその都度変わるものであり、一度受諾したからといって同種又は類似の情報の提供に関して開示請求の度に必ず認められるものではなく、個別的な事情や時期、社会的背景等を勘案し、その都度判断する必要がある。また、提供後であっても近接した時点において、「法人等の側から非公開の条件が提示され、独立行政法人等が合理的な理由があるとしてこれを受諾した」場合には、例外的に、その時点から「独立行政法人等の要請を受けて、公にしないとの条件で任意に提供されたもの」に該当するものとなる。
「要請」には、法令に基づく報告又は提出の命令は含まないが、情報・研修館が報告徴収権限を有する場合でも、当該権限を行使することなく、任意に提出を求めた場合は含まれる。
「開示しない」とは、法や情報公開法に基づく開示請求に対して開示しないことはもちろんであるが、第三者に対して当該情報を提供しないという意味である。また、特定の行政目的以外の目的には利用しないとの条件で情報の提供を受ける場合も通常含まれる。
「条件」については、独立行政法人等の側から開示しないとの条件で情報を提供してほしいと申し入れる場合も、法人等又は事業を営む個人の側から独立行政法人等の要請があったので情報は提供するが開示しないでほしいと申し出る場合も含まれるが、いずれにしても双方の合意により成立する。また、条件を設ける方法については、黙示的なものを排除する趣旨ではない。
「提供される」方法は、書面によるとはされていないところであり、例えば法人等から口頭で提供された情報であって、独立行政法人等の職員側で文書等に記録したものも含まれる。
2)「法人等又は個人における通例として開示しないこととされているものその他の当該条件を付することが当該情報の性質、当時の状況等に照らして合理的であると認められるもの」
「法人等又は個人における通例」とは、当該法人等又は個人の個別具体的な事情ではなく、当該法人等又は個人が属する業界における通常の取扱いを意味し、当該法人等又は個人において開示しないこととしていることだけでは足りない。
開示しないとの条件を付すことの合理性の判断に当たっては、情報の性質に応じ、当該情報の提供当時の諸般の事情を考慮して判断するが、必要に応じ、その後の変化も考慮しなければならない。開示しないとの条件が付されていても、現に当該情報が公になっていたり、同種の情報が既に開示されているなどの事情がある場合には、本号には当たらない。
(2-2)具体例

本号イの不開示情報に該当し、不開示となる可能性がある情報の例は、以下のとおりである。ただし、本例は一般的な例を想定したものに過ぎず、実際の運用に当たっては、個々の開示決定等の時点において、開示請求に係る保有個人情報に記載されている個々の情報の内容、性質等、個別の事情を総合的に勘案し、画一的、一律的にならないよう留意し、法第14条の規定等の趣旨に沿って慎重に判断するものとする。
なお、個別の情報の具体的な内容等によって、他の不開示情報に該当するものや他の不開示情報にも重複的に該当するもの等が存在する点に留意することが必要である。

1)生産、技術、営業、販売、運営その他の事業活動に関する情報であって、公にすることにより、当該法人等又は当該個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるもの
ⅰ)生産、技術等に関する情報
製造工程、製造方法その他の生産・管理のプロセスに関する情報であって、公にすることにより、当該情報が競争相手に知られる蓋然性が高いなど正当な利益を害するおそれがある情報
原燃料構成、設備設計その他の製品・生産技術に関する情報であって、公にすることにより、当該情報が競争相手に知られる蓋然性が高いなど正当な利益を害するおそれがある情報
研究開発課題、研究開発成果その他の研究開発に関する情報であって、公にすることにより、当該情報が競争相手に知られる蓋然性が高いなど正当な利益を害するおそれがある情報
その他生産、技術等に関する情報であって、公にすることにより、当該法人等又は当該個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるもの
ⅱ)営業、販売、運営等に関する情報
資金調達状況その他の通常一般に入手できない財務に関する情報
販売計画その他の販売上の戦略が明らかにされ、又は具体的に推測される情報であって、通常一般に入手できないもの
設備投資計画、用地取得計画その他の運営上の方針が明らかにされ、又は具体的に推測される情報であって、通常一般に入手できないもの
その他営業、販売、運営等に関する情報であって、公にすることにより、当該法人等又は当該個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるもの
2)事業活動を行う上で内部管理に属する経営方針、経理、人事等に関する以下の情報であって、公にすることにより、当該法人等又は当該個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるもの
雇用方針その他の経営方針が明らかにされ、又は具体的に推測される情報であって、通常一般に入手できないもの
その他事業活動を行う上での内部管理に属する情報であって、公にすることにより、当該法人等又は当該個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるもの

(3) 審議、検討等情報(法第14条第4号)

(3-1)解釈

法第14条各号に掲げる不開示情報のうち、審議、検討等情報については、同条第4号の規定に基づき判断することとする。なお、当該規定の解釈に当たっては、以下の点に留意するものとする。

-1- 法第14条第4号
1)「国の機関、独立行政法人等、地方公共団体及び地方独立行政法人の内部又は相互間」
「国の機関」とは、国会、内閣、裁判所及び会計検査院並びにこれらに属する機関を指す。これらの国の機関、独立行政法人等、地方公共団体及び地方独立行政法人(国の機関等)について、それぞれの機関の内部又は他の機関との相互間の意味である。
2)「審議、検討又は協議に関する情報」
国の機関等の事務及び事業について意思決定が行われる場合に、その決定に至るまでの過程においては、例えば、具体的な意思決定の前段階としての政策等の選択肢に関する自由討議のようなものから、一定の責任者の段階での意思統一を図るための協議や打合せ、決裁を前提とした説明や検討、審議会等又は独立行政法人等が開催する有識者等を交えた研究会等における審議や検討など、様々な審議、検討及び協議が行われており、これら各段階において行われる審議、検討又は協議に関連して作成され、又は取得された情報を指す。また、審議、検討又は協議の体制や進め方についての情報も、当該情報が記録された法人文書として作成、取得されていれば、「審議、検討又は協議に関連して作成され、又は取得された情報」に含まれ、結果的に意思決定に至らなかった審議、検討等の内容等も本号に含まれる。
なお、これらの「審議、検討又は協議に関する情報」の例としては、以下のようなものも含まれる
イ.主管官庁が関係官庁に協議を行う場合、協議過程全体としては、協議が整った後の主管官庁が行う意思決定が最終的な意思決定であることから、主管官庁はもとより、協議先の関係省庁にとっても、当該協議における提出意見等の情報は「審議検討又は協議に関する情報」に該当する。
ロ.国の機関等以外の機関(例えば法人等)が主催する会議等に、国の機関等の職員が職務として参加し、審議、検討等を行った場合において、当該審議、検討等に関する情報が国の機関等の内部における審議、検討等に当たる場合には、本号の「審議、検討又は協議に関する情報」に該当する。なお、国の機関等の内部における審議、検討等でない場合は、当該法人等に関する情報(法第14条第3号)又は事務・事業情報(法第14条第5号)等の問題となる。
なお、独立行政法人等で審議、検討等を行う場合に、その審議、検討等がそもそもその事務又は事業の適正な遂行の一環として行われるときには、その情報は、法第14条第5号等の他の不開示情報に該当する可能性もある。
3)「率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれ」
公にすることにより、外部からの圧力や干渉等の影響を受けることなどにより、率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれがある場合をいい、適正な意思決定手続の確保を保護利益とするものである。
例えば、審議、検討等の場における発言内容が公になると、発言者やその家族に対して危害が及ぶおそれがある場合(例えば、利害関係の対立の激しい事項についての審議等を行う審議会等において、特定の意見を主張する者に対して、その反対派や利害関係者から、当該発言者やその家族に対し無言電話や嫌がらせが行われるような場合など)がこれに該当する。この場合には、法第14条第5号等の他の不開示情報に該当する可能性もあるが、「率直な意見の交換が不当に損なわれるおそれ」が生じたり、また、独立行政法人等内部の政策の検討がまだ十分でない情報が公になり、外部からの圧力により当該政策に不当な影響を受けるおそれがあり、「意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれ」が生じたりすることを指す。ここでいう「外部からの圧力」とは、有形無形にかかわらず、直接的なものだけでなく間接的なものも含め、圧力により「不当な」影響を受けるのであればすべて該当し得る。
4)「不当に国民の間に混乱を生じさせるおそれ」
未成熟な情報や事実関係の確認が不十分な情報などを公にすることにより、国民の誤解や憶測を招き、不当に国民の間に混乱を生じさせるおそれがある場合をいう。これは適正な意思決定を行うことそのものを保護するのではなく、情報が公にされることによる国民(地域住民等一定の地域コミュニティや高齢者、労働者等一定の社会階層に限られる場合も含む。)への不当な影響が生じないようにするものである。
例えば、特定の物資が将来不足することが見込まれることから、政府として取引の規制が検討されている段階で、その検討情報を公にすれば、買い占め、売り惜しみ等が起こるおそれがある場合がこれに該当する。
なお、独立行政法人等の審査等を経た後、公表される予定となっている文書であっても、審査期間中においては、内容の確定していない文書を公にすることにより不当に国民の間に混乱を生じさせるおそれ等があり得ることから、審査終了までの間の請求については、本号に該当するものとして不開示となる場合がある。
5)「特定の者に不当に利益を与え若しくは不利益を及ぼすおそれ」
尚早な時期に、あるいは事実関係の確認が不十分なままで情報を開示することにより、不正な投機を助長するなどして、特定の者に不当に利益を与え又は不利益を及ぼすおそれがある場合を想定したもので、4) と同様に、事務及び事業の公正な遂行を図るとともに、国民への不当な影響が生じないようにする趣旨である。ここで、「特定の者」については、具体的に個人又は法人等が確定していることまでは求められず、ある程度の蓋然性をもってその存在が認められることをもって足りる。また、「利益」又は「不利益」には、経済的なものに限らず、精神的苦痛や社会的信用も含まれ得る。
例えば、施設等の建設計画の検討状況に関する情報が開示されたために、土地の買い占めが行われて土地が高騰し、開示を受けた者や、それ以外の利害関係を有する者等が不当な利益を得たり、違法行為の事実関係についての調査中の情報が開示されたために、結果的に違法・不当な行為を行っていなかった者が不利益を被ったりするおそれがある場合がこれに該当する。
6)「不当に」
3)から5)までにおいて「不当に」とは、審議、検討等途中の段階の情報を開示することの必要性を考慮してもなお、適正な意思決定の確保等への支障が看過し得ない程度のものであることを意味する。予想される支障が「不当」なものかどうかの判断は、当該情報の性質に照らし、開示することによる利益と不開示にすることによる利益とを比較衡量した上で判断される。
-2- 意思決定後の取扱い等

審議、検討等に関する情報については、独立行政法人等としての意思決定が行われた後は、一般的には、当該意思決定そのものに影響が及ぶことはなくなることから、本号の不開示情報に該当する場合は少なくなるものと考えられるが、当該意思決定が全体として一つの政策決定の一部の構成要素であったり、当該意思決定を前提として次の意思決定が行われる等審議、検討等の過程が重層的、連続的な場合には、当該意思決定後であっても、政策全体の意思決定又は次の意思決定に関して本号に該当するかどうかの検討が行われるものであることに注意する必要がある。また、審議、検討等が終了し、意思決定が行われた後であっても、当該審議、検討等に関する情報が開示されると、国民の間に混乱を生じさせたり、将来予定されている同種の審議、検討等に係る意思決定に不当な影響を与えるおそれがあれば、本号に該当し得る。具体的には、例えば、選択されなかった選択肢が公になると将来の審議、検討等の際の選択肢を狭め、将来の審議、検討等に影響する場合がある。
なお、審議、検討等に関する情報の中に、調査データ等で特定の事実を記録した情報があった場合、例えば、当該情報が専門的な検討を経た調査データ等の客観的、科学的事実やこれに基づく分析等を記録したもの(当該データに対する評価、評価を推測させるもの等、客観的・科学的事実でないものを除く。)であれば、一般的に本号に該当する可能性が低いものと考えられる。

(3-2)具体例

本号の不開示情報に該当し、不開示となる可能性がある情報の例は、以下のとおりである。ただし、本例は一般的な例を想定したものに過ぎず、実際の運用に当たっては、個々の開示決定等の時点において、開示請求に係る保有個人情報に記載されている個々の情報の内容、性質等、個別の事情を総合的に勘案し、画一的、一律的にならないよう留意し、法第14条の規定等の趣旨に沿って慎重に判断するものとする。
なお、個別の情報の具体的な内容等によって、他の不開示情報に該当するものや他の不開示情報にも重複的に該当するもの等が存在する点に留意することが必要である。

1)公にすることにより、率直な意見交換又は意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれがある情報
審議会等における審議や具体的な意思決定の前段階として政策等の選択肢に関する自由討議・検討その他の独立行政法人等内部における審議、検討等に関する情報であって、公にすることにより、有形・無形、直接的・間接的な外部からの圧力や干渉等の不当な影響を受けるおそれがあるもの
関係独立行政法人等全体又は協議元の独立行政法人等としての最終的な意思決定に至るまでの過程で独立行政法人等相互間又は地方公共団体との間で行われる協議に関する情報であって、公にすることにより、有形・無形、直接的・間接的な外部からの圧力や干渉等の不当な影響を受けるおそれがあるもの
調停、仲裁その他の紛争処理上の事案に関する情報
叙勲、表彰等に係る推薦に関する情報
その他公にすることにより率直な意見交換又は意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれがある情報
2)公にすることにより、不当に国民の間に混乱を生じさせるおそれがある情報
関係者による事実関係の確認が得られていない情報
専門的な検討を経ていない情報
関係者間の調整等を経れば相当程度変更されることが容易に想定される情報
行政手続法第2条第3号に規定する申請の審査、同条第4号に規定する不利益処分の実施の検討等に関する情報
その他公にすることにより不当に国民の間に混乱を生じさせるおそれがある情報
3)公にすることにより、特定の者に不当に利益を与え又は不利益を及ぼすおそれがある情報
一定期間後に一斉公表が予定されている法令、基準、規格等に関する情報
実施以前に公表されることが想定されていない不利益処分に関する情報
その他公にすることにより特定の者に不当に利益を与え又は不利益を及ぼすおそれがある情報

(4) 事務又は事業に関する情報(法第14条第5号)

(4-1)解釈

法第14条各号に掲げる不開示情報のうち、事務又は事業に関する情報については、同条第5号の規定に基づき判断することとする。なお、当該規定の解釈に当たっては、以下の点に留意するものとする。

-1- 法第14条第5号本文
1)「次に掲げるおそれ」
「次に掲げるおそれ」としてイからトまでに掲げたものは、各機関共通的にみられる事務又は事業に関する情報であって、その性質上、開示することによって、その適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあると考えられる典型的な支障を挙げたものである。これらの事務又は事業の外にも、同種のものが反復されるような性質の事務又は事業であって、ある個別の事務又は事業に関する情報を開示すると、将来の同種の事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるもの等、「その他当該事務又は事業の性質上、当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれ」があり得る。
なお、例えば、記者発表など、一定期間後に一斉に公表される予定となっている文書については、公表日前に公にすることにより当該事務又は事業の遂行に支障を及ぼすおそれがあると判断されるのであれば、本号に該当する。
2)「当該事務又は事業の性質上」
当該事務又は事業の本質的な性格、具体的には、当該事務又は事業の目的、その目的達成のための手法等に照らして、その適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるかどうかを判断することを指す。
3)「適正な遂行に支障を及ぼすおそれ」
本規定は独立行政法人等の恣意的判断を許容する趣旨ではなく、各規定の要件の該当性は客観的に判断される必要があり、また、事務又は事業の根拠となる規定・趣旨に照らし、個人の権利利益を保護する観点からの開示の必要性等の種々の利益を衡量した上で「適正な遂行」と言えるものであることが求められる。
「支障」の程度は、名目的なものでは足りず実質的なものが要求され、「おそれ」の程度も単なる確率的な可能性ではなく、法的保護に値する蓋然性が要求される。
-2- 法第14条第5号イ
1)「国の安全」
「国の安全」とは、国家の構成要素である国土、国民及び統治体制が害されることなく平和で平穏な状態に保たれていること、すなわち、国としての基本的な秩序が平穏に維持されている状態をいう。具体的には、直接侵略及び間接侵略に対し、独立と平和が守られていること、国民の生命が国外からの脅威等から保護されていること、国の存立基盤としての基本的な政治方式及び経済・社会秩序の安定が保たれていることなどが考えられ、必ずしも国防に関する事項に限られるものではない。
「国の安全が害されるおそれ」とは、これらの国の重大な利益に対する侵害のおそれ(当該重大な利益を維持するための手段の有効性を阻害され、国の安全が害されるおそれがあると考えられる場合を含む。)をいう。
2)「他国若しくは国際機関との信頼関係が損なわれるおそれ」
「他国若しくは国際機関」には、我が国が承認していない地域、政府機関その他これに準ずるもの(各国の中央銀行等のほか、民族解放団体、自主的に外交関係を処理できる能力を有する国営企業体等の団体も含む。)、外国の地方政府又は国際会議その他国際協調の枠組みに係る組織(アジア太平洋経済協力会議、国際刑事警察機構等)の事務局等(国際機関における「総会、理事会、事務局」のような固有の常設機関が完全には形成されていない国際的な組織(国際フォーラム)や、通常兵器や核物質の拡散防止等のために自発的に国家間で形成された国際協調のための組織なども含む。)が含まれる(以下「他国等」という。)。
「他国若しくは国際機関との信頼関係が損なわれるおそれ」とは、例えば、公にすることにより、他国等との取決め又は国際慣行に反することとなる、他国等の意思に一方的に反することとなる、他国等に不当に不利益を与えることとなるなど、他国等との間で、相互の信頼に基づき保たれている正常な関係に支障を及ぼすようなおそれをいう。
3)「他国若しくは国際機関との交渉上不利益を被るおそれ」
他国等との現在進行中の又は将来予想される交渉において、我が国が望むような交渉成果が得られなくなる、又は我が国の交渉上の地位が低下するなどのおそれをいう。例えば、交渉に関する情報(交渉に関して取られた措置や交渉の対処方針の検討過程の資料などについても含まれる。)であって、公にすることにより、現在進行中の又は将来予想される交渉に関して我が国が採ろうとしている立場が明らかにされ、又は具体的に推測されることになり、交渉上の不利益を被るおそれがある情報が該当する。
-3- 法第14条第5号ロ
1)「犯罪の予防、鎮圧又は捜査、その他公共の安全と秩序の維持」
ⅰ)「犯罪の予防、鎮圧又は捜査、公訴の維持、刑の執行」は、「公共の安全と秩序の維持」の例示である。
「犯罪の予防」とは、犯罪の発生を未然に防止することをいう。
「犯罪の鎮圧」とは、犯罪が正に発生しようとするのを未然に防止したり、犯罪が発生した後において、その拡大を防止し、又は終息させることをいう。
「犯罪の捜査」とは、捜査機関が犯罪があると思料するときに、公訴の提起などのために犯人及び証拠を発見・収集・保全することをいう。犯罪捜査の権限を有する者は、刑事訴訟法によれば、検察官、検察事務官及び司法警察職員であり、司法警察職員には、一般司法警察職員(警察官)と特別司法警察職員(労働基準監督官、海上保安官等)がある。
「公訴の維持」とは、検察官が裁判所に対し、特定の刑事事件について審判を求める意思表示をすることを内容とする訴訟行為を公訴の提起というが、この提起された公訴の目的を達成するため、終局判決を得るまでに検察官が行う公判廷における主張・立証、公判準備などの活動を指す。
「刑の執行」とは、刑法第二章に規定された死刑、懲役、禁錮、罰金、拘留、科料、没収、追徴及び労役場留置の刑又は処分を具体的に実施することをいう。保護観察、勾留の執行、保護処分の執行、観護措置の執行、補導処分の執行、監置の執行、過料、訴訟費用、費用賠償及び仮納付の各裁判の執行、恩赦についても、刑の執行に密接に関連するものでもあることから、開示することにより、これら保護観察等に支障を及ぼし、公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがある情報は、本号に該当する。
ⅱ)「公共の安全と秩序の維持」とは、犯罪の予防、鎮圧又は捜査、公訴の維持及び刑の執行に代表される刑事法の執行を中心としたものを意味する。
刑事訴訟法以外の特別法により、臨検、捜索、差押え、告発等が規定され、犯罪の予防・捜査とも関連し、刑事司法手続に準ずるものと考えられる犯則事件の調査、独占禁止法違反の調査等や、犯罪の予防・捜査に密接に関連する破壊的団体(無差別大量殺人行為を行った団体を含む。)の規制、暴力団員による不当な行為の防止、つきまとい等の規制、強制退去手続に関する情報であって、開示することにより、公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあるものは、本号に含まれる。
また、開示することにより、テロ等の人の生命、身体、財産等への不法な侵害や、特定の建造物又はシステムへの不法な侵入・破壊を招くおそれがあるなど、犯罪を誘発し、又は犯罪の実行を容易にするおそれがある情報や、被疑者・被告人の留置・勾留に関する施設保安に支障を生ずるおそれのある情報も本号に含まれる。
一方、風俗営業等の許可、伝染病予防、食品、環境、薬事等の衛生監視、建築規制、災害警備等の、一般に開示しても犯罪の予防、鎮圧等に支障が生ずるおそれのない行政警察活動に関する情報については、本号ではなく、第7号の事務又は事業に関する不開示情報の規定により、開示・不開示が判断されることになる。
-4- 法第14条第5号ハ
1)「監査、検査、取締り、試験又は租税の賦課若しくは徴収に係る事務」
「監査」とは、主として監察的見地から、事務又は事業の執行及び財産の状況の正否を調べることをいい、行政が適切に行われているかを確認するという見地から行う監察もこれに含まれる。
「検査」とは、法令の執行確保、会計経理の適正確保、物資の規格、等級の証明等のために帳簿書類その他の物件等を調べることをいう。
「取締り」とは、行政上の目的による一定の行為の禁止、又は制限について適法、適正な状態を確保することをいう。
「試験」とは、人の知識、能力等又は物の性能等を試すことをいう。
「租税」には、国税、地方税がある。「賦課」とは、国又は地方公共団体が、公租公課を特定の人に割り当てて負担させることをいい、「徴収」とは、国又は地方公共団体が、租税その他の収入金を取ることをいう。
2)「正確な事実の把握を困難にするおそれ又は違法若しくは不当な行為を容易にし、若しくはその発見を困難にするおそれ」
監査等の事務は、いずれも事実を正確に把握し、その事実に基づいて評価、判断を加えて、一定の決定を伴うことがある事務である。
これらの事務に関する情報の中には、例えば、監査等の対象、実施時期、調査事項等の詳細な情報のように、事前に開示すると、適正かつ公正な評価や判断の前提となる事実の把握が困難となったり、行政客体における法令違反行為又は法令違反には至らないまでも妥当性を欠く行為を助長したり、巧妙に行うことにより隠蔽をするなどのおそれがあるものがあり、このような情報については、不開示とするものである。また、事後であっても、例えば、監査内容等の詳細であってこれを開示すると今後の法規制を免れる方法を示唆することになるようなものは、該当し得ると考えられる。
-5- 法第14条第5号ニ
1)「契約、交渉又は争訟」
「契約」とは、相手方との意思表示の合致により法律行為を成立させることをいう。
「交渉」とは、当事者が、対等の立場において相互の利害関係事項に関し一定の結論を得るために協議、調整などの折衝を行うことをいう。例えば、独立行政法人等の事務中、「交渉」に係る事務として想定している類型としては、補償交渉、土地売買交渉、組合団体交渉等が考えられる。
「争訟」とは、訴えを起こして争うことをいう。訴訟、行政不服審査法に基づく不服申立てその他の法令に基づく不服申立てがある。
2)「国、独立行政法人等、地方公共団体又は地方独立行政法人の財産上の利益又は当事者としての地位を不当に害するおそれ」
国、独立行政法人等、地方公共団体又は地方独立行政法人が一方の当事者となる上記の契約等に関する情報の中には、例えば、用地取得等の交渉方針や用地買収計画案を開示することにより、適正な額での契約が困難になり財産上の利益が損なわれたり、交渉や争訟等の対処方針等(交渉結果や要求・陳情書も該当する場合がある。)を開示することにより、当事者として認められるべき地位(当事者の地位を含む。)を不当に害するおそれがあるものがあり、このような情報については、不開示とするものである。
-6- 法第14条第5号ホ

調査研究に係る事務に関する情報の中には、例えば、(1)知的所有権に関する情報、調査研究の途中段階の情報などで、一定の期日以前に開示することにより成果を適正に広く国民に提供する目的を損ね、特定の者に不当な利益や不利益を及ぼすおそれのあるもの、(2)試行錯誤の段階の情報で、開示することにより、自由な発想、創意工夫や研究意欲が不当に妨げられ、減退するなど、能率的な遂行を不当に阻害するおそれがあるものがあり、このような情報を不開示とするものである。
なお、各種統計調査においては、当該調査の実施機関、目的、調査対象、調査手法、周期・期日、調査事項等が公にされているところではあるが、具体の調査対象企業名等のように、それが公にされることにより当該法人に不利益を及ぼすおそれや、事後の協力を得られなくなるため事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるものに該当する場合がある。

-7- 法第14条第5号ヘ

人事管理に係る事務に関する情報の中には、例えば、勤務評定や人事異動、昇格等の人事構想等を開示することにより、公正かつ円滑な人事の確保が困難になるおそれがあるものがあり、このような情報を不開示とするものである。

-8- 法第14条第5号ト

国若しくは地方公共団体が経営する企業、独立行政法人等又は地方独立行政法人に係る事業に関連する情報については、企業経営という事業の性質上、第14条第3号の法人等に関する情報と同様な考え方で、企業経営上の正当な利益を保護する必要があり、これを害するおそれがあるものを不開示とするものである。例えば、生産技術上のノウハウ、販売及び営業に関する情報、信用上不利益を与える情報等が該当し、また、当該企業に係る監査、契約、争訟、調査研究、人事管理等の事務についても本号ホの該当性を検討する必要がある。ただし、正当な利益の内容については、経営主体、事業の性格、内容等に応じて判断する必要があり、情報の不開示の範囲は同号の法人等とは当然異なり、より狭いものとなる場合があり得る。

(4-2)具体例

本号の不開示情報に該当し、不開示となる可能性がある情報の例は、以下のとおりである。ただし、本例は一般的な例を想定したものに過ぎず、実際の運用に当たっては、個々の開示決定等の時点において、開示請求に係る保有個人情報に記載されている個々の情報の内容、性質等、個別の事情を総合的に勘案し、画一的、一律的にならないよう留意し、法第14条の規定等の趣旨に沿って慎重に判断するものとする。
なお、個別の情報の具体的な内容等によって、他の不開示情報に該当するものや他の不開示情報にも重複的に該当するもの等が存在する点に留意することが必要である。

1)国の安全が害されるおそれ、他国若しくは国際機関との信頼関係が損なわれるおそれ又は他国若しくは国際機関との交渉上不利益を被るおそれがある情報
ⅰ)公にすることにより、国の安全が害されるおそれがあると認めることにつき相当の理由がある情報
我が国の防衛上の能力を減じる等の影響があるおそれがある情報
我が国と他国との関係に関連する安全保障上の利益を損なうおそれがある情報
平和と安全の維持のための国際的な協力の実効性を損なうおそれがある情報
我が国の存立基盤としての基本的な経済秩序の維持を損なうおそれがある情報
その他公にすることにより国の安全が害されるおそれがある情報
ⅱ)公にすることにより他国等との信頼関係が損なわれるおそれがあると認めることにつき相当の理由がある情報
他国等より公開を前提とせず提供された情報
他国等との間において、不公表が申し合わされているか、又はその旨が具体的に推測される情報
公にすることが、当該情報に関係する他国等に対し不利益を与えるおそれ又は他国等の意思や国際慣行に反することとなるおそれがある情報
その他公にすることにより他国等との信頼関係が損なわれるおそれがある情報
ⅲ)公にすることにより、他国等との交渉上不利益を被るおそれがあると認めることにつき相当の理由がある情報
進行中の交渉に係る我が国の立場を示し、又はこれを類推することに資する情報
将来交渉となった場合に我が国の立場を示し、又はこれを類推することに資する情報となるおそれがあるもの
その他公にすることにより他国等との交渉上不利益を被るおそれがある情報
2)犯罪の予防、鎮圧又は捜査その他公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがある情報
捜査のための照会又は回答に関する情報
犯罪の被疑者又はその参考人、違法又は不正な行為の通報者又は告発者を特定することができると認めるにつき相当の理由がある情報
訴訟に関連した照会又は回答に関する情報
要人の行動又は警護に関する詳細な情報
特定の建造物の警備又は情報システムセキュリティに関する詳細な情報
武器、火薬及び放射性物質等の保存場所に関する詳細な情報
その他公にすることにより公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあると認めることにつき相当の理由がある情報
3)公にすることにより、監査、検査、取締り又は試験に係る事務に関し、正確な事実の把握を困難にするおそれ又は違法若しくは不当な行為を容易にし、若しくはその発見を困難にするおそれがある情報
監査等の対象、実施時期、調査事項、監査手法その他の監査等に関する詳細な情報
試験の管理・監督の手法や判定・評価の手法に関する詳細な情報
試験問題、解答例、試験問題の作成要領その他の試験の問題作成に関する詳細な情報
その他公にすることにより、監査、検査、取締り又は試験に係る事務に関し、正確な事実の把握を困難にするおそれ又は違法若しくは不当な行為を容易にし、若しくはその発見を困難にするおそれがある情報
4)公にすることにより、契約、交渉又は争訟に係る事務に関し、国又は地方公共団体の財産上の利益又は当事者としての地位を不当に害するおそれがある情報
企業誘致に係る交渉方針、交渉結果等に関する情報
訴訟、不服申立て等に係る争訟方針、打合せ、示談等に関する情報
その他公にすることにより、契約、交渉又は争訟に係る事務に関し、国又は地方公共団体の財産上の利益又は当事者としての地位を不当に害するおそれがある情報
5)公にすることにより、調査研究に係る事務に関し、その公正かつ能率的な遂行を不当に阻害するおそれがある情報
研究課題、研究成果その他の研究に関する情報であって、公にすることにより、知的財産権や自由な発想、創意工夫、研究意欲等を不当に阻害するおそれがあるもの
調査の個別具体的な対象等に関する情報であって、公にすることにより、正確な事実の把握や事後の協力が困難になるおそれがあるもの
その他公にすることにより、調査研究に係る事務に関し、その公正かつ能率的な遂行を不当に阻害するおそれがある情報
6)公にすることにより、人事管理に係る事務に関し、公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれがある情報
職員調書、昇任等の推薦者名簿その他の人事査定・評価に関する情報
人事異動、配属その他の人事構想に関する情報
その他公にすることにより、人事管理に係る事務に関し、公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれがある情報
7)公にすることにより、国又は地方公共団体が経営する企業に係る事業に関し、その企業経営上の正当な利益を害するおそれがある情報
法人等に関する情報又は事業を営む個人の当該事業に関する情報であって、公にすることにより、当該法人等又は当該個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるものに準じる情報

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