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海外企業へ知的財産をライセンスする場合に、知的財産面でどのようなことに気をつけたらよいですか?

例えば、御社(日本企業A社)が、外国企業B社に特許権やノウハウをライセンスし、B社が製品を製造してB国で販売し、製品が売れたら個数に応じて対価を支払う、というライセンス契約をしました。
また、B国でB社が製品を販売する際に、A社の商標を用いて広告して売ることができるよう、A社の商標もB社にライセンスしました。

このようなケースで、例えば以下のような知的財産に関する判断・対応が必要になってくる場合があります。

ライセンシーから「模倣品を摘発してほしい」といわれた

B国に模倣品が発生した場合に、B社から、模倣品を摘発してほしいといわれました。この場合、摘発を行いますか?

海外現地に拠点を持たない場合、模倣品の摘発はタダではできません。すべての模倣品に対応していたら、海外ビジネスの利益はなくなってしまいます。

新興国では市場でよく売れるものについては、多かれ少なかれ模倣品は出てきます。このようなことを想定して、模倣品が発生した場合の対応を契約書の中に織り込んでおくことも一案です。

ライセンシーから「模倣品の摘発を委任してほしい」といわれた

また、B社から模倣品を摘発する対応を委任してほしい、と要求されることもあります。

この場合、B社に模倣品対応を任せて大丈夫か注意する必要があります。B社が模倣品(権利侵害品)と判断しても、必ずしもその判断が合っているとは限りません。B社が権利侵害品でないものを摘発してしまった場合、自社もトラブルに巻き込まれてしまうおそれもあります。

このような場合、B社からは模倣品の出現に関する情報は提供させるが、権利侵害をしているか否か、摘発を行うかどうかの判断は自社が行う、という手段もあります。

ライセンシーから「第三者権利を侵害しないと保証してほしい」といわれた

B社から、ライセンスされた技術が第三者の権利を侵害しないという保証をしてほしい、と要求されることがあります。

B社としては、ライセンス料はらっているのに、他者の権利を侵害したとして損害賠償請求されてはやりきれないので、このような保証を要求してくることは珍しくありません。

一方で、A社(御社)としても、いくらになるかわからない損害賠償請求に対する補償は行いたくないものです。

そこで、契約で、損害賠償請求の範囲をライセンスフィー以下とする条件をつけたり、権利侵害となるかグレーな権利をあらかじめ列挙してそれらの権利侵害のみ保証したりするなど、保証の範囲を限定することにより、予測不能な損害賠償のリスクを軽減することも一案です。

ライセンシーから「ちゃんとモノが作れるよう保証してほしい」といわれた

B社から、ライセンスされたモノができるまで、技術を教えてくれることを保証してほしい、と要求されることがあります(技術の完全性保証)。また、中国の「技術輸出入管理条例」など、提供する技術の完全性と、約束した技術目標への到達を保証すべきことが法令で規定されている国もあります。

しかしながら、B社でライセンスされたモノができないのは、技術力がなかったり、環境が整っていなかったりすることが原因の場合もあります。

自社がライセンスしたのはどの範囲までかを管理していないと、完全性保証を理由として、自社の技術情報をどんどん取っていかれてしまったり、技術指導のために何回も海外の企業へ足を運ばなければならなくなったりするかもしれません。

このように、安易に保証してしまうと、余分な責任や義務を負ってしまうかもしれません。そのようなリスクを低減するために、ライセンスの対象は何か?「ちゃんとモノが作れる」程度とはどの程度か?などを、契約で明らかにしておくなど工夫をすることもひとつの手段です。

また、生産環境など移転技術以外の原因で発生した問題について責任を追及されないよう、製品生産ができた時点で検品し、それ以降はライセンスされた側のオペレーションの問題であると認識させることも行われます。

改良発明の帰属

ノウハウとして提供した技術がB社側で改良された場合に、改良部分だけでなく、自社が提供したノウハウの一部も自らの発明として出願されてしまったなど、ライセンシーの改良発明の出願によって、自社が公開したくなかった技術が公開されてしまう可能性があります。さらには、その技術を使うために、逆に自社がお金を払わなければいけなくなる場合もありえます。

しかしながら、各国の法制度によりますが、契約などで改良を制限することは、各国の独占禁止法で難しいと考えたほうがよいと思われます。

そこで、改良発明による技術流出のリスクを低減するため、例えば、相手方企業が改良発明を出願する前に通知させ、事前に明細書を見せることを契約に盛り込み、自社の公開したくないノウハウなどの情報が入っていないか、確認するなどの工夫もできます。

また、ライセンシーにおいて、ライセンスした技術を改良した発明したが生まれた場合に、ライセンサーが非独占的な使用許諾を得るという条件を契約に入れることで、自社の実施が制限されないよう工夫することもできます。

さらに、例えば、すべての技術・ノウハウをB社に教えるのではなく、技術の肝の部分はブラックボックス化して輸出するなどして相手方企業に教えないことにより、一箇所に「ものづくりのすべて」がそろわないようなビジネススキームとするのもひとつの手段です。

その他、技術ライセンスの注意点

その他、海外の企業に技術ライセンスをする際、技術ライセンス契約を締結する際に注意すべき事項を以下に挙げます。

  1. ライセンスの対象を特定する

    まず、対価を取得するライセンス対象技術の特定が重要になります。想定以上の技術を移転してしまうことがないよう、特許番号や特定されたノウハウの形で例示して特定する必要があります。
    ただし、海外企業へのライセンス契約をする場合、行政機関への許認可申請や届出、銀行からの外貨送金時に契約書を添付しなければならないこともあり、ここから技術情報が漏洩してしまうことがあります。ライセンスする対象の技術は附属文書などで引用して例示する(例えば「別途交付する作業手順書」)など、工夫することも一案です。

  2. ライセンスの範囲、種類、テリトリーを特定する

    自社の今後のビジネス展開を想定して(ライセンシーが将来ライバルにならないようになど考慮して)、ライセンスの範囲(独占か、非独占か)、種類(権利のみか権利に加えてノウハウもライセンスするか)、テリトリーを決定します。
    権利に加えてノウハウをライセンスすることには、権利が無効となったり期間満了となったりした場合のライセンスフィーの根拠となるという意義もあります。
    ただし、独禁法的観点から許されないテリトリー制限もあるので、注意が必要です。

  3. 各国のライセンス規制を意識する

    まず、そもそも日本からの輸出が禁止・制限される技術や貨物でないかを確かめる必要があります。日本での代表的な規制としていわゆる「外為法」※がありますが、意外なものが規制対象となっていますので、経済産業省の「安全保障貿易管理」に関するホームページを見て確認してみてください。
    次に、輸出先国内でも、輸入することが禁止・制限される技術がありますので確認する必要があります。
    また、技術ライセンスに許認可・届出が必要とされる場合があり、違反した場合にはライセンス契約が無効となりライセンスフィーの支払いを受けられなくなったり、その国での特許が無効となったりするおそれがあります。
    さらに、技術の輸出入に関し特殊な規制のある国もあります。
    例えば、中国の「技術輸出入管理条例」では、第三者の権利侵害の責任をライセンスする側が負ったり、ライセンス側が移転技術に関し広範な保証責任を負ったりするという、特殊な規制があります。
    このような対象国の法令や特殊な規制に注意して、ライセンス契約を進める必要があります。

(参考)
海外に製品や技術を輸出する際に、「外為法」に気をつけたほうがよいと聞きましたが、どのような規制でしょうか?

※外為法:外国為替及び外国貿易法

社名の使用、商標のライセンスについての注意点

商標をライセンスして、現地販売店や代理店に自社商品を広告してもらい売ってもらう場合、契約などの中で、社名・商標の使用について決めておく必要があるかもしれません。

  • 社名、商標の使用を許可する目的、範囲を指定する

    もし、契約で何も定めなかった場合、自社の製品以外の製品に自社商標を使われてしまうかもしれません。自社の商品の販売のための広告など、自社の目的に合った範囲の使用に限定すべきです。

  • 社名、商標の使用方法、形態を指定する

    ライセンスした商標の色や形を勝手に変えられてしまうと、まったく印象が異なる別のマークが市場に流通してしまい、自社のブランドの価値が下がってしまうかもしれません。
    自社で「商標使用マニュアル」を作成しているならば、そのマニュアルに沿って使用することを契約条件に入れることも一案です。

  • 契約終了後の社名、商標使用禁止

    契約終了後も使用を継続されてしまう例が多くあります。契約終了後に自社の社名、商標の使用を確実にやめてもらうためには、看板を破棄させる、立入検査を行うなどを契約条件に入れる工夫が必要になってきます。

  • 権利義務の譲渡禁止

    海外企業に商標のライセンスを含めてフランチャイズ契約を結んだところ、ライセンスを受ける権利がいつのまにか移転されて、知らない企業が御社の名前をかたってビジネスを行っていた、というケースもあります。このようなことを防ぐ方策として、権利義務の譲渡禁止の契約条項を入れることも手段のひとつです。


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