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海外企業と取引を行うのは初めてです。国内企業との契約と比べて、特に気をつける点は何でしょうか?

海外企業との契約では、国内企業との場合と異なる点や、より気をつけたほうがよい点があります。いくつか重要なものをご紹介します。

相手方企業の確認

時間をかけて商談や交渉を行っても、いざ契約書を取り交わす段階になって、相手方の会社の実体が無かったり、契約書の名宛人となる相手方の会社名称が違ったり、商談・交渉を行っていた相手に契約締結権限がなかったなどが明らかになるケースもあります。

展示会で名刺交換をしたり、引き合いが来たりしたときに、まずは、相手方企業の情報(法人の正式名称、法定代表者、資本金など)を確認して、相手方企業の規模や信頼性を確認しておくことをおすすめします。

国によっては以下のように政府機関のサイトで無料で確認できる国もあります。より細かな事項を確認するためには現地の法律事務所などへの依頼が必要になってきます。

中国
国家工商行政管理局 新規ウインドウで開きます
米国
米国証券取引委員会(U.S. Securities and Exchange Commission) 新規ウインドウで開きます

紛争解決方法・場所・準拠法

海外企業との契約にあたって、契約書の準拠法(契約の解釈に用いる法律)や、紛争解決地(裁判・仲裁を行う国・地域)、それに紛争解決機関(裁判所・仲裁機関)をどこにするかと考えるときに、「自分の近くの裁判所が有利なはず!」と考えて、紛争解決地を日本の裁判所にしたほうがよいと考える方がいらっしゃいます。

しかしながら、紛争解決地を日本国内として契約し、紛争が起きて日本国内の裁判所に訴訟提起し勝訴しても、その判決により財産に対する強制執行までできる国は多くありません。

判決を外国で執行するには、相互保証すなわちその外国と日本でお互いに判決を承認執行し合う関係が必要ですが、日本と相互保証のある国は多いとはいえません。すなわち、日本国内に相手の財産がなければ、日本で勝訴しても結局財産に対して強制執行ができないおそれがあります。

この点、紛争解決の手段として、「裁判」ではなく「仲裁」を選ぶことも考えられます。紛争解決方法として「仲裁」を選ぶ場合には、例えば、仲裁に関するニューヨーク条約※加盟国相互間であれば、原則として国をまたいで相互に強制執行をすることができます。

「裁判」と「仲裁」には様々な特色があります。それぞれの特徴や財産の所在場所、司法の実情などを踏まえて、どちらが自社の契約に適しているか検討してみてください。

  • 国外での強制執行の可否
  • 公開/非公開
  • 判断権者(裁判官・仲裁人)の選択の可否
  • 費用
  • 必要期間
  • 審判の機会(複数回/一回)
  • 合意の要否(仲裁を選ぶ場合は、「仲裁合意」が必要であるため、契約書に記載しておくことが必要)
 

外国で訴えられることは特に中小企業にとっては大きな負担となりますので、少なくとも相手方が気軽に自国の紛争解決機関に訴えることができないようにすることは非常に重要です。

相手方からの濫訴(みだりに訴えられること)を防止するためには、「被告地主義」(日本側が訴えられるときには日本にある裁判所か仲裁機関に、外国側が訴えられるときには外国にある裁判所か仲裁機関に)が採られることも多くあります。

また、紛争解決地と準拠法の場所が異なると、例えば外国人の裁判官に日本法の法典や資料を提供して適用してもらうなどの労力が必要になります。したがって、紛争解決地と準拠法はリンクさせることが望ましいといえます。

この点、当該外国内の契約には当該外国の法律を準拠法として用いなければならないという主張が相手方からされることもありますが、私的自治の見地からライセンス契約の準拠法は自由に定められる国が多くなっています。

上記にかぎらず相手方の主張について裏取りが必要となる場合も多いため、現地情報に精通した代理人など、現地情報の収集や確認のための手段を早い段階から確保しておくことをおすすめします。

 ※ニューヨーク条約 「外国仲裁判断の承認及び執行に関する条約」の通称
 

言語

現地行政機関や銀行などから現地語での契約書提出が求められる場合や、共通言語としての英語が使用できない場合には、複数の言語による複数の契約書ができる場合があります。そのようなときには、翻訳ミスやニュアンスの違いで両バージョンにちがいがあるときにどちらが優先されるか、「正本」となる側を決めておく必要があります。

日本側としては日本語を正本とするよう主張していくべき場合が多いといえますが、そもそも翻訳ミスが起こらないように契約書翻訳の経験が豊富な翻訳会社を利用するべきでしょう。

また、双方の認識にくいちがいが出ないよう、現地語での契約書作成が必要でない場合には共通言語(英語)一本とすることも一案です。

契約の有効期間は要検討

有効期間を明示しない契約も多くありますが、期間が決まっていないと、相手方も契約終了に同意しないかぎりいつまでも自社の義務を履行しなければならないかもしれません。例えば様子を見たいならば契約期間は1年間などの短期にし、あとは協議で更新するのも一案です。

また、極端な話ですが、秘密保持契約書などで期間を永久としたものもあります。自社が提供した情報を永久に守ってもらえる代わりに、相手方から提供された秘密も永久に秘密として管理し続けなければならないことにはご注意ください。
また、それほど重要な情報であればそもそも外部に出すべきではないかもしれません。

中途終了(解約)事由 

支払の遅延など義務の不履行、相手方の出資者変更、倒産など、そのようなことがあればもはや契約を続けたくないであろう事由を、具体的に例示しておくことも、スムーズに契約関係を終了させるために重要です。

契約終了後の措置

商標の使用を許可したり、図面、成分表などの情報を渡したりしている場合には、回収や破棄の必要があります。
ちゃんと破棄されたか確認できないと、結局そのまま使用されてしまうかもしれません。確認のための立入検査権についてまで契約で定めることもあります。

損害賠償義務

契約内容に損害賠償義務が無いと、契約に定めた義務を履行してもらえないときに」泣き寝入りするしかないかもしれません。
また、損害賠償義務を定めることにより、契約の相手方の契約遵守のモチベーションが上がることも期待されます。

権利義務の譲渡禁止

権利義務の譲渡禁止について契約に定めがないと、信頼できる企業と契約したはずが、いつの間にか契約の相手方が変わってしまっているかもしれません。


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