空調部品製造メーカーが目指す付加価値を高める製品開発の形!
千代田空調機器株式会社は、冷凍機器、空調機器製品に使用される部品の製造メーカーとして開発から製造・検査までを自社で一貫生産できることを強みとし、グローバル展開をしている企業です。
しかし、知財に関する業務が属人化していることに危機感を抱き、組織改革の必要性を認識したことからINPITに支援を依頼されました。
今回その支援の成果についてお話しいただけるということで、INPIT理事長がインタビューを行いました。

取材日:2026年3月12日
千代田空調機器株式会社(以下、千代田空調)
代表取締役社長 北山 貴靖 様(写真左)
取締役 尾崎 真司 様
開発部部長 新田 清隆 様
開発部商品企画室 係長 福井 慎也 様
独立行政法人工業所有権情報・研修館(以下、INPIT)
理事長 渡辺 治(写真右)
近畿統括本部 事業推進部長 千葉 慎二
知財戦略EX 鶴 善一
検索指導員 坂本 光俊
主査 野村 佑介
INPITの知財支援を受けて

INPIT渡辺理事長: IPランドスケープ支援事業をはじめとするINPITの様々な支援をご利用いただいたかと思いますが、使ってみていかがでしたでしょうか。
千代田北山社長:やっぱり私を中心に社内の意識が変わるきっかけになったかなと思います。どうしても知財、特許というと守りのイメージが強かったんですが、BtoBでやっているとコストが先に決まっていて価格での競争になってしまうことがあり、BtoCの新規事業をやりたいと思う中で、自社の付加価値を最大化するために、この特許というのが非常に役に立ったと感じています。
INPIT渡辺理事長:IPランドスケープのように、特許情報を見ることで、今の技術トレンドが分かるようになるところはあるのではないかなと思います。IPランドスケープ支援事業を利用した後、そのやり方は御社の中で活かせていますでしょうか。
千代田新田部長:ベースはできてきていると感じています。これからは方法をアップデートすることで、自社でできるようになることをめざしています。
製品開発・新規事業にあたっての知財の取組み
INPIT渡辺理事長:製品開発、新規事業開拓で知財情報というのは役にたっていますか?
千代田北山社長:そこはやはり役に立ったと思います。これまではなんとなく申請したりしなかったりでしたが、仕組みとして知財情報を使って出願の可否を判断できるようになりました。また、発明提案書を作ることにしたのですが、それにより開発段階から知財の観点を取り入れて考えるようになってきました。
INPIT渡辺理事長:それが具体的にはどのような効果をもたらしましたか?
千代田福井係長:特許情報の調査を試作・開発の段階で行えるようになってきたと感じています。開発担当者の方から我々との打合せを設定してくれるようになり、製品仕様を考えるうえで元々の仕様とは別の解決方法や、権利を取得するうえでより広い範囲の権利にできるんじゃないかという話ができるようになりました。
千代田尾崎取締役:ノウハウで残すといっても実は明文化できていないということがありました。発明提案書という形であれば文字にすることによって要素が残り、これを出すべきか出さないべきかという議論をすることで、継承できるノウハウになっていくんじゃないかなと思っています。
INPIT渡辺理事長:やはり開発段階で特許とノウハウの切り分けを行うことが重要なんですね。
千代田尾崎取締役:これまでは開発が完了するタイミングで特許になるかどうかの議論がありました。しかし、今は開発の初期段階で、パテント関係の会議体を設けてくれています。まだ精度はそこまで高くないですが、続けていくことで精度が上がっていくのではないかと感じています。
INPIT渡辺理事長:INPITとしてもこういう取組みの効果を発信していますが、いくら儲かったのかというような明確な数字や金額で表せないのでなかなか効果が伝わりにくいのが歯がゆいところです。
INPIT渡辺理事長:こういう取組みの結果、新規事業まで進んだっていうのはすごいですね。
千代田北山社長:タイミングがよかったです。前職の会社では売上の9割近くが本業で、残り1割をいろんなものを作っている部署があったのですが、コロナ禍で本業がすごく低迷した時に、その部署は堅調に成長していたので、グループトータルで見ると赤字にならないということがありました。このことからあくまでメインは空調事業ですけれどももう一つの仕組み、柱となるものを何か作りたいと思い商品企画室を作りました。
INPIT渡辺理事長:空調機と介護用品、事業としての距離が遠いと感じるのですが、どのようにつながっているのでしょうか。
千代田北山社長:そこはつながりがちょっと弱いのですが、一応弊社の配管加工技術や塗装技術が活用できるというところにシナジーがあり、介護用品の一部を内製しています。
千代田福井係長:介護用品の開発を始めると同時に関連特許について調べています。新規参入になるので自社製品の強みになる部分をしっかり守れる様な内容を検討したいと思います。
INPIT渡辺理事長:特許の教科書的な話で言うと、難しいものよりも誰でも思いつきそうなもので特許を取っておくと範囲が広く強い権利になります。
これからの展望
INPIT千葉部長:今回、既存事業だけでなく新規事業という新たな軸足を増やしたお話を聞かせていただきましたが、今後のビジョンお聞かせいただけますでしょうか。
千代田北山社長:新事業は売上規模でいうと年数百万円という規模なので、今後はやはり事業グループとして10%から20%ぐらいのところまで成長させていければと思います。中期目標では2030年に15億円の売り上げを介護だけで。本業では2030年に国内で150億円の売上目指しておりまして、海外含めて全体では350億を目指しています。
INPIT渡辺理事長:空調事業はこれからすごく堅調な市場に思われますがいかがでしょうか。
千代田北山社長:2050年ぐらいまではグローバルでは堅調に成長していくといわれています。しかし、日本は人口が減っていくので国内市場としては停滞することが予測されるため、これから本当に伸びていくといわれている海外の地域に進出することで会社としても成長することができると思っています。
知財に取組む企業へのメッセージ
INPIT渡辺理事長:INPITは、知財に取組む企業を支援しているわけですけれども、これから知財に取組む企業に対して社長からメッセージをいただけますか。
千代田北山社長:知財を自分たちの強み、価値に置き換えて、オンリーワンの製品を出していかないとこれからの時代を生き残れないと思うので、やはり経営トップ層が知財に関する意識を変えていただきトップダウンで全社的に知財に取組むことが重要と思っています。そのために一度、自社の知財を棚卸されてみてもいいのではないかと思います。どんな特許を出しているのかだけではなく、知財を担っている人物が誰で、出しているのか出していないのか。社内で仕組みがあるのかないのかっていうところを整理してみると、自社の課題が見えてくると思うし、経営者の意識が変わるのではないかなと思います。
INPIT渡辺理事長:そういう取組みをINPITとしても応援させていただきたいと思っています。本日はありがとうございました。

この記事に関するお問合わせ先
近畿統括本部 事業推進部
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