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よくある質問と回答(FAQ)
FAQ:海外展開の検討準備段階
大事なことは御社の海外ビジネスの強みや目的に沿って御社の知的財産を守ることです。例えば、
- 技術に強みがある ⇒ 特許権を取得する
- ブランドに強みがある ⇒ 商標権を取得する
という事が、一般的には言えるかと思います。しかし、ここで一度原点に立ち返って、権利で本当に御社の強みが守れるのかという現実(例えば、進出予定国での権利行使の容易さ、あるいは困難さなど)に目を向ける必要があります。予想される権利の使用目的とその実現の可能性とを十分検討した上で、できるだけ費用や労力を無駄にしないように、御社の実情に合った知財戦略を構築することが必要になります。
まず、取得する知的財産権の活用方法を具体的に想定する必要があります。例えば、
- 自社技術の優位性を宣伝するための道具として活用する
- 商品、技術などのセールスためのインセンティブとして利用する
- ライセンスによって収入を得るための材料とする
- 競合他社製品を排除するための権利として使う
というようなことがあるかと思います。さらに、消極的ですが、相手に権利化されることを防ぐために出願するというのも、目的の一つになります。
具体的にはこれらの項目の中で、現実に御社で出来る事と出来そうもないこととを推定して、活用できる項目として残ったものと、出願権利化及び権利維持にかかる費用とが見合うかどうかを比較検討する必要があります。これは言うまでもなく企業ごとに大きく異なりますので、一般的に議論することは非常に困難です。
海外での商標権については、一般的に、
- 商標権を取得するのに、日本で取得するよりも費用がかかる
- 他人に使用させる場合、個々の商標が正しく使用されているか否かの管理・監督が必要になる
などが懸念されます。海外進出する際には、現在使用している商標体系を見直して商標の使用方針を再検討する(商品ごとに使用している商標をハウスマーク(会社を表す商標)に統一する、商品のシリーズごとに商標を統一するなど)機会にしてはいかがでしょうか。
商標権は、
- ブランド構築の基礎になる
- 国毎に独立に認められる権利である
- 原則、先に出願した者に付与される権利である
- 他人に先に取得されると、今まで使っていた商標を使用することができなくなる
というものです。ですから、もし現在商標権を取得していないのであれば、まず、日本国内での商標権の取得について検討し、さらに、進出国での商標権の取得について早急に検討することをお勧めします。なお、検討に際しては御社の固有の事情、商品・市場の状況、描いているビジネスの在り方など、具体的固有事情を勘案する必要があります。
比較的多いトラブルには、
- 日本で使用してきた商標が既に現地で他人によって登録されていた
- 部品や製品が横流しされているらしい
- 模倣品、侵害品、類似品が出回り始めた
などがあります。上記の他にも輸出した製品が現地で他人の知的財産権を侵害していたなど、色々なトラブルが実際に起こっています。どのようなトラブルリスクがあるのかは事業の形態、商品の性質などに依存します。
漏えい原因には、
- 退職した従業員が持ち出す
- 従業員同士の会話から流出する
- 仲介人や商社から漏れてしまう
- 契約に基づく技術指導が漏えいを誘引することがある
などが考えられます。他にも事業形態、管理体制の構築度合い・運用状況によって実際のリスクの存在箇所は異なってきます。
不正競争防止法による保護を受けるためには、
- 公然と知られていない情報であること
- 事業活動に有用な情報であること
- その情報が「秘密」として管理されていること
という要件が満たされている必要があります。具体的に社内でどのような事を行っておく必要があるかは各社の状況によって大きく異なります。
なお、営業秘密の管理の詳細については、営業秘密~営業秘密を守り活用する~(経済産業省)もご覧ください。
まず、共同開発をする企業の技術力を、事前に十分確認しましょう。その上で、
- 「ものづくりのすべて」は渡さない
- 基本的な知財を押さえるにはどういう方法をとるか
などの点に配慮して交渉・契約に臨みましょう。ただし、具体的に留意するべき点は個々の事案によって大きく異なりますので慎重に検討する必要があります。
特に気をつけるべき点として、
- 相手方企業についてできるだけ詳細に調べる
- 紛争解決方法、場所、準拠法について取り決める
- 契約の言語をどう選択するか
- 契約の有効期間をいつまでとするか
- 契約を中途終了(解約)する事由を詳細に挙げる
- 契約終了後の措置を規定する
- 損害賠償義務について定める
- 権利義務の譲渡禁止を課する
などが挙げられます。他にも契約内容や事業スキームによって国内契約と異なる点が出てくる場合がありますので注意して下さい。
契約書の骨子や考え方については、下のリンクをご参照下さい。
海外に、武器の開発などに用いられるおそれのある製品や技術を輸出することを規制する法律として「外国為替及び外国貿易法」(外為法)があります。
海外に持って行く製品や情報が、武器などの開発などに用いられるものではないか常に意識し、外為法などに抵触する懸念があれば、所管の経済産業省に問い合わせることをおすすめします。
外為法については、下のリンクをご覧ください。
特に気をつける必要があるのは、
- 自社の商標やロゴ、マークなどが第三者の商標権を侵害しないか
- 自社の商標、ロゴ、マークやwebサイトのデザインを守るための手段はとったか
という点などだと思います。最初の点については調査が必要ですし、二つ目の点については必要な権利化を済ませたかどうかという事になります。
まず、専門家や経験者に実際にどのようなことがeコマース市場で起こっているのかをお聞きになり、御社の場合にどのようなことが予想されるのかを想定した上で、必要と思われる対策を練ることが最善かと思います。
海外で調達した部品や材料が第三者の知的財産権を侵害している場合、その部品や材料を用いて商品を製造・販売すると、その第三者から訴えられるなどの知的財産トラブルに巻き込まれる可能性があります。
このようなことを防ぐためには、
- 調達する部品や材料について事前に第三者の知的財産権との関連性を調査しておくこと
- 取引契約の中で調達先から知財保証を取り付けておくこと
などが必要になります。
eコマース市場でのビジネスにおいては、企業名、販売される商品名、商品等に用いるマーク等、さらには、Webサイトのデザインや配置等を真似されることがあります。
そのような場合の対応には、
- 商標権に基づいて商標権侵害の主張が可能な場合
- 著作権に基づいて著作権侵害の主張が可能な場合
などがあります。
具体的にはWebサイトの管理者に対してマーク等の削除要請をすることになろうかと思われますが、商標権に基づいて手続きを行う場合には事前に権利を取得しておく必要があります。どのように商標権を取得しておくかは、類似の商品等についてWeb上でどのような形態で真似られるかを分析した上で専門家に相談することが望ましいと思われます。
上記の回答は個々の事情によって必ずしもそのまま適用できるものではありません。特に、近い将来、海外の知的財産に関する何らかの具体的な問題に直面するおそれがあると思われる場合は、海外展開知財支援窓口、関西知財戦略支援専門窓口に相談いただく事をお勧します。
FAQ:海外展開の実施段階
まず、その他人の商標権の内容(権利者、権利期間、指定商品やサービス)を確認し、実際に御社が自社商標を使えないのかどうか検討しましょう。
その結果、御社の使用が問題になる場合は、
- 商標権を消滅させるための法的な手続を行う
- 商標登録した他人から商標権を譲り受ける、あるいは商標権の使用許諾を受けるための交渉をする
- 当該国で使用するロゴ、商標を変更する
などがあります。
などの方法が考えられます。どの方法を採用するかを決めるには具体的に御社の固有事情を十分に考慮する必要があります。なによりもビジネス視点での検討が不可欠です。
一般的には次のような注意点を挙げることができます。
- 展示予定の技術、商品などについて、出願予定の特許、商標などがあれば出願しておく
- 開示してよい情報と開示してはならない情報を区別する
- 必要以上の説明をしないように気をつける
具体的には展示会の性質、開催場所(国内、海外)、展示する商品 などによって留意点は異なってきます。
大切なことは、
- 商談の際に開示する情報と開示しない情報とをあらかじめ決めておく
- できるだけ相手方企業の情報(法人の正式名称、法定代表者、資本金など)を調べておく
- 秘密保持契約を締結する
などですが、予想される商談内容や相手先によって注意点は異なってきます。
なお、国によっては以下のように政府機関のサイトで無料で企業情報を確認できる国もあります。より細かな事項を確認するためには有料機関の利用や現地の法律事務所などへの依頼が必要になってきます。
中国:中华人民共和国国家工商行政管理总局(英語の表示ページもあります)
例えば、次のような項目について事前に検討しておく必要があります。
- 模倣品を摘発してほしい、又は、摘発を委任してほしいといわれた場合の対応
- 第三者権利を侵害しないと保証してほしいといわれた場合の対応
- ちゃんとモノが作れるよう保証してほしいといわれた場合の対応
- 改良発明が生まれた場合の取扱い方法
具体的に御社が実行可能な範囲での対応で済むように、ライセンシーへ提案する必要があります。実際にどのように取り決めるかは、御社の実情を十分に勘案することが必要になります。
最低限、必要なこととして、
- ライセンスの対象を特定する
- ライセンスの範囲、種類、テリトリー(領域、地域)を特定する
などがあります。また、日本及び国ごとの法律上の輸出入規制の有無(例えば日本の場合の「外為法」など)について調べる必要もあります。その他にもライセンス内容や技術の性質などによって注意点は異なります。
少なくとも、次のような点を挙げることができます。
- 社名、商標の使用を許可する目的、範囲を指定する
- 社名、商標の使用方法、形態を指定する
- 契約終了後の社名、商標の使用禁止を課す
- 権利義務の譲渡禁止を課す
他にも対象となる商品やサービスによって、また、御社が想定しているビジネス形態によって注意点は異なってきますので、慎重な対応が必要です。
覚書(場合によっては、「協議書」、「Memorandum of Understanding」)に署名する時は、それが法的拘束力を持つものであるか否か精査してください。
文字どおり「覚書」として法的拘束力を持たせたくない場合には「法的拘束力を有さない」、「どちらからでも自由に破棄できる」などの文言を入れることも一案です。
会社の経営に余裕がある場合はいいのですが、ややもすると模倣品や権利侵害品への対策に労力や資金が十分に使えない場合があります。
このような場合は、まず、
- 本当に模倣品・権利侵害品がビジネス上問題なのか
- 摘発等の公的手段の採用以外にできる事はないのか
を冷静に考えてみましょう。
特に、まだ製品開発段階であれば「模倣品が出にくいものづくりをする」、あるいは流通前であれば「商流・物流管理を徹底する」などの方法である程度模倣品等を押さえることが出来るかもしれません。
いずれにしても模倣品対策は、必ずしも費用や手間のかかる摘発や法的手続きが最良の手段ではないことが多々あることを念頭に、自社の身の丈にあった対策を検討する必要があります。
少なくとも、
- 見せてもいい部分と見せられない部分とを区別して、見学ルートを設定する
- 説明内容を決めておき、必要以上の説明はしないように気をつける
- 基本的に写真撮影はお断りする
などの事が必要です。他にも会社ごとの状況、事情に応じて対応が必要な事項があり得ます。
知的財産権の調査は、その目的あるいは対象とする権利によってやり方が異なり、場合によっては専門家に依頼することが必要になることがあります。
しかし、まず手始めに自分でやってみることも可能です。この場合は、各国の特許庁などの知的財産権庁などが、知的財産権の公報などの閲覧ができるようにしているウェブサイトがありますので、それを使うことになります。
ただし、ある程度習熟していないとその結果に信頼はおけません。ですから、まず調査の必要性、そのやり方について実務経験者に相談した上で、必要なら専門家に依頼することをお勧めします。
上記の回答は個々の事情によって必ずしもそのまま適用できるものではありません。特に、近い将来、海外の知的財産に関する何らかの具体的な問題に直面するおそれがあると思われる場合は、海外展開知財支援窓口、関西知財戦略支援専門窓口に相談いただく事をお勧します。
[この記事の最終更新日 2018年8月16日]
この記事に関するお問合わせ先
近畿統括本部 関西知財戦略支援窓口
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- ip-js01@inpit.go.jp
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