理事長挨拶

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 INPITは、平成 13 年 4 月 1 日に独立行政法人として設立されて以来、我が国唯一の知的財産に関する総合支援機関として、我が国の知的財産制度を支える「情報」と「人」という基盤の整備と、これらが活用される「環境」の整備・強化に取り組んでまいりました。

 近年では、経済のグローバル化や、デジタル革命により業種の垣根が崩れオープンイノベーションが進展し、中小・ベンチャー企業 (SMEs: Small and Medium sized Enterprises) が優れた技術を活かして飛躍するチャンスが拡大しております。
 そうした背景を踏まえ、令和2年4月より新たに取り組みをスタートした第5期中期計画では、中小・ベンチャー企業の知財を活用した「稼ぐ力」の向上を法人最大のミッションとして掲げ、その実現に向け、役職員一丸となり取り組んでおります。

 今後、我々法人の活動が、我が国企業の事業成長、イノベーション実現に寄与し、ひいて、我が国の持続的発展に真に貢献するための鍵として捉えるのは、次の「SME」です。

 ①知財×持続性(Sustainability)

  様々な制約にあえぐ中小・ベンチャー企業において、人材難は大きな課題の一つです。知財業務も例に漏れず、人材なくして組織に定着することは困難です。我々の有する専門人材のノウハウも、支援時の一過性のものではなく、支援後も、継続して企業の取り組みに活かしていただくことが重要です。
 我々は、知財の持続的活用を見据えた、人材レベルでの根の深い支援に取り組みます。

 ②知財×経営(Management)

  知財を事業戦略における有効なツールとして捉え、経営に活用いただくためには、企業経営の船頭である、経営者の方々の知財に対する理解が必要不可欠です。他方、その理解はまだまだ十分ではない現状があると認識しております。我々は、知財と経営の結びつけを深めるべく、経営者の方々に対するアプローチを強化してまいります。


 ③知財×事後評価(Evaluation)

  中小・ベンチャー企業が抱える知財の課題は、千差万別です。数多ある課題に対して何が有効かを見極め、それぞれのステージに応じたきめ細かな支援を行うことが重要です。我々のアプローチが真に妥当なのか、適切に評価・検証を行い、日々の支援の質の向上に取り組みます。


 新型コロナウイルスの蔓延により社会のあり方そのものが大きな転換期を迎えている中、我々の法人運営においても、変革を恐れず柔軟に対応し、皆様のニーズに着実にお応えできるよう努めてまいります。
 今後とも、皆様の一層のご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げます。

2020年10月
独立行政法人 工業所有権情報・研修館
理事長 久保 浩三