理事長就任のご挨拶

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 このたび、独立行政法人工業所有権情報・研修館の理事長を拝命いたしました渡辺 治です。
 就任にあたり、一言ご挨拶申し上げます。

 独立行政法人工業所有権情報・研修館(INPIT)は、平成13(2001)年4月1日に独立行政法人通則法に基づき設置されてからこれまで、「発明、実用新案、意匠及び商標に関する公報、審査及び審判に関する文献その他の工業所有権に関する情報の収集、整理及び提供を行うとともに、特許庁の職員その他の工業所有権に関する業務に従事する者に対する研修を行うこと等により、工業所有権の保護及び利用の促進を図ること」を目的とした、我が国唯一の知的財産に関する総合支援機関として、我が国の知的財産制度を支えてまいりました。

 そして、この4月からINPITは、第六期中期目標期間(令和6(2024)年度~令和10(2028)年度)に入ります。本中期目標では、(1)知財エコシステムを支える知財課題発掘-知財形成-知財の戦略的活用のワンストップ支援、(2)知財エコシステムを支える産業財産権情報インフラの整備とその利活用、(3)知財エコシステムを支える人材育成、(4)世界最速・最高品質審査を始めとする特許行政への貢献、という4つの柱を立てて、取組むことになります。

 具体的には、まず、中堅、中小、スタートアップ等の企業における「知財」の課題発掘から戦略的活用までを通して支援するため、INPITが47都道府県に設置している知財総合支援窓口と共に、弁理士、弁護士、中小企業診断士等の専門家の方々もご活躍いただくことにより、「地域における知財経営支援の核」となることを目指します。また、企業、大学、研究機関等からの、知財戦略にかかる海外展開、営業秘密管理、産学連携及びスタートアップに関する専門的な相談に対応するために、高度な知識及び経験を備える専門人材を東京本部及び近畿統括本部に配置し、知財総合支援窓口とも連携しつつ、企業、大学、研究機関等の知財戦略策定等を支援いたします。
 次に、特許情報プラットフォームであるJ-PlatPat等のいわゆる「情報提供インフラ」を安定的に運営し、インターネットを通じて誰でも容易に産業財産権情報にアクセスできる環境を提供するとともに、「工業所有権の保護に関するパリ条約」に基づく「中央資料館」として、我が国の公報を閲覧に供する公報閲覧室を運営してまいります。
 更には、企業の経営層や知財部門の社員、他機関の支援人材、専門家、といったターゲットを明確にした研修プログラムを開発し、提供していきます。また、特許庁及びINPITが有する知識、経験及びノウハウに基づいて開発、作成した知財人材育成教材等を、インターネット経由で提供するプラットフォームであるIP ePlatを効果的に運営して広く提供することにより、知的財産関連人材の量的・質的拡大を図っていきます。
 このほか、特許庁の最重要政策である「世界最速・最高品質の審査」の実現を支援するため、特許庁職員等に対する研修、審査資料及び審判資料の整備、提供等の業務を、引き続き着実に実施してまいります。

 これらの取組みにより、産業財産権を通じて未来を拓く「知」が育まれ、新たな価値が生み出される知財エコシステムを、官民一体となって協創し、イノベーションを促進する社会を実現できるよう、これからも引き続き尽力してまいります。

 今後とも工業所有権情報・研修館の業務にご理解とご支援をよろしくお願いいたします。

 

令和6年4月
理事長 渡辺 治