理事長挨拶

 独立行政法人工業所有権情報・研修館(INPIT)のウェブページへようこそ!
INPITは、知的財産の総合支援機関として、知財制度の基盤を支え、知財の意義を多くの皆さんに知って頂き、その活用を進める活動をしています。

 そもそも知財制度にどのような意味があるのでしょうか?たとえば、その代表例である特許制度を例に考えてみましょう。特許制度は、アイデア<>を文書という形にして社会の富<>とし、その権利を保護する制度と言えます。なぜ、特許という形にすると「社会の富」になるのでしょうか?専門家であれば、いくつも例を出せると思いますが、ここではINPITの代表的な活動にもかかわる3つに絞って紹介します。

 まず、アイデア(発明や技術など)を特許化するには文書にしなければなりません。そのとき、社会での活用という観点から、その発明の特徴・価値が再検討されます。その過程で「ああ、こういう使い方もあるんだ」などという新たな気付きが得られます。それにより、発明が肉付けされ、成長し、社会の富としての価値が形作られるのです。

 アイデアは文書という形(データ)にすることで解析ができるようになります。世の中のデータ解析の進歩には目覚ましいものがあります。発明や技術がデータ化されれば、こうしたデータ解析が使えるようになり、それらが今後どのような事業に発展して行きそうか、たとえば、新たな販路や、連携すべき企業やライバル企業が見えてくるでしょう。つまり、特許には企業の未来を分析するための、経営戦略の重要な道具としての価値もあるのです。

 特許として形になり、しかも保護されることで、アイデアは社会にデビューできます。すると、様々な人がその活用や発展を考えられるようになり、特許を元にした連携―協創―が可能となるのです。それにより、ある人の頭の中にあったアイデアが、企業に埋もれていた技術が、大きく花開き、社会を変えるような産業に発展するかもしれません。まさに、社会の富となるのです。

 INPITは、「知」に、このような価値を与える取り組みへの支援を、そのミッション(使命)として進めて参ります。もちろん、それには弁理士、弁護士、中小企業診断士等の専門家をはじめ、多くの方々のご協力が必要です。INPITは、特許庁と共に、日本弁理士会や日本商工会議所とも連携し、支援事業を進めます。こうした支援における連携だけでなく、知財を介して、産業界、地域、大学等研究機関の様々な連携を演出できるような、そうした「産地学官」の連携の、まさに要となる組織になることを、INPITのビジョン(ありたい姿)として目指します。それとともに、知財に関する情報提供や知財人材育成活動の支援をしっかり行うことで、INPITのもう一つのビジョンである、身近に知財があり、それにより人々が豊かに暮らせる社会を皆さんと創っていく所存です。

 以上のINPITの活動に対し、今後とも、皆様の一層のご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げます。

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独立行政法人工業所有権情報・研修館
理事長 渡辺 治