かんな屑から生まれた「mokuka(木花)」新たな材木活用で新事業創出!

相原木材株式会社(山形県)
窓口名:山形県知財総合支援窓口
業種:製造業
従業員数:20名以下

会社概要

相原木材株式会社
代表者  :相原 吉郎
住 所  :山形県山形市立谷川2-86-1

 昭和22年創業。老舗の製材業者。建築資材販売等も併営し、地元建築会社・大工・工務店等に販路を構築。三代目相原 吉郞氏(35歳)が3年前に代表取締役に就任し、70年近い歴史を持つ老舗企業で若い力が第2の創業に挑んでいる。

相談のきっかけから課題抽出まで

「思い付き」から生まれた「木花」

相原木材 写真1  山形県山形市で住宅用建材を主な商材として扱っている相原木材株式会社。そんな企業から生まれた「木花」は、木で造られた花として人気を集めている。「木花」の誕生について、相原代表と寺崎専務は「思い付きで生まれた」と話す。木を身近に感じてほしいと考えていた二人は、新しく木を使った商品を生み出せないか検討していたが、そんな中で木材を削る際に出たかんな屑を見て、その色や模様から花を作ったら売れるのではないかと考えた。
 こうして生まれた「木花」であったが、初期段階は商品の価値もわからず、販売先も見つからなかったためなかなか売り上げが伸びず、赤字の事業となってしまった。どうしたら「木花」はもっと売れるのか、そのような悩みを抱えていた時に出会ったのが、知財総合支援窓口と支援担当者の川﨑氏であった。

「木花」の権利化支援から抜本的な見直し

 もともと知財総合支援窓口を利用しようと思ったきっかけは、「木花」という名称を商標登録したいという思いからであったという。相談を受けた際に川﨑氏は、「木花」制作に要する技術的な面にも着目し、単純にかんな屑を集めて制作するのではなく、花びらのように形成する技術的要素や接着技術にも注目。商標出願だけでなく特許出願も支援することとなった。しかし、権利化出来たとしても「木花」のブランド化や販売戦略に大きな課題があることが発覚した。
 そこで、中小企業診断士の五島氏と連携し、「木花」の販売戦略を抜本的に見直すことに。まず、販売するターゲット層を見直し、それに伴って商圏を定めることにした。また、価格設定も制作にかかる人件費や販促費も考慮すれば、引き上げる必要があり、高級路線を貫くこととした。そのほかにもウェブサイトのリニューアルや、「木花」制作のための工房を設けるなど、徹底的に「木花」ブランドの定着を目指して支援を行った。

支援の成果

窓口支援の結果、売上は5~6倍に!雇用増による地域貢献も!

 「木花」の売上は、2016年に販売した当初は年間100万円程度であり、さらに経費を考慮すると赤字であったという。しかし、ターゲット層やウェブサイトの見直し、プレス戦略などにより年間では500~600万円程度と、窓口の支援後は5~6倍に増加した。売上1000万を目標としているがその日も近い。
 また、売上だけではなく、「木花」の需要増に伴い、制作者も専属の職員として採用・増員。「木花」の制作には非常に繊細で高度な技術力が必要となるため、「作家」という位置づけで制作しているという。また、「木花」の材料もただのかんな屑は使わず、木材のプロフェッショナルとして、それぞれの木の特徴を活かして加工を行った材料を使っている。制作にかかる技術力と材料の加工技術によって、「木花」は決して他社には真似できない商品となった。

枯れない気持ちを枯れない花に託して(山形県知事も愛用)

相原木材 写真2 このような高い技術力を要する「木花」は様々なところで評価されている。複数の雑誌に取り上げられることで、一般購買者層へのPRにつながり知名度の向上につながっている。ウェディングアイテムとしての需要も高まってきており、今後はさらなる売上増が期待されているという。また、山形県知事が相原木材株式会社を視察した際に知事からも「木花(MOKUKA)はとにかくお洒落。こういう商品を通して山形県をクールな精神文化を持つお洒落な県にしていきたい。」と抱負を述べると、相原社長は「その一助になれれば嬉しいです。木花(MOKUKA)を通して山形県を発信していることも自分たちの喜びになっています。」と語る。
 「木花」の知名度向上のみならず、会社名も広く認知されることにより、主要事業である建材事業への波及も期待される。今後の事業展開にも大きな期待が伺える「木花」について、引き続き知財総合支援窓口も知財面からのサポートを続けてまいりたい。