ドッグフードのブランド・デザイン戦略で、年商6倍へ!

ベネフィット株式会社(山形県)
窓口名:山形県知財総合支援窓口
業種:製造業
従業員数:5名以下

会社概要

ベネフィット株式会社
代表者  :小林 定広
住 所  :山形県南陽市赤湯942-2

 2011年山形県赤湯に販売店【ドッグガレージ】を設立。愛犬の健康を心から願い本当に信頼できて安全な食べ物を提供できるよう自社農場で栽培した野菜を原料にドックフード作りと販売を手掛けている。

相談のきっかけから課題抽出まで

愛犬への思いから生まれたドッグフード

ベネフィット 写真1  山形県南陽市で居酒屋を営んでいる小林社長、新たな事業を開始するきっかけは自身の愛犬であった。小林社長の愛犬は小麦アレルギーを持っており、市販のドッグフードでは食べられないものも多かった。そこで、小麦アレルギーを持っている犬でも食べられる無添加のドッグフードを開発、他の犬たちにも食べてほしいという気持ちから、ドッグフードの販売を始めることを決意した。
 小林社長の作るドッグフードの大きな特徴は、人が食べても美味しいドッグフード。自身で栽培した無農薬野菜を使った「わんこのサラダ」や、米沢牛を使った「わんこのジャーキー」、山形米を使った「わんこの山形お米チップス」は、その美味しさと健康に配慮された安全性から、無添加ドックフードとして好評を得ている。
 知財総合支援窓口を利用したきっかけは、県の補助金や経営革新計画について話を聞いていた際に、商品名やロゴマークの保護などについては知財総合支援窓口で相談が受けられると山形県企業振興公社の地域コーディネーターから紹介されたためという。
 紹介を受けた窓口支援担当者の川﨑氏は、愛犬を想う小林社長の作るドックフードが多くの愛犬家にも広がればと思い、既存の商品名やロゴマークについて小林社長と共に類似のものがないか、商標登録の可能性を探ると共に商標出願手続きの支援や専門家と連携してのブランド・デザイン戦略支援等を行うこととなった。現在商品に使用している「ドッグガレージ」という名称は、川﨑氏支援の下、小林社長自ら出願し権利化されている。

支援の成果

ブランド・デザイン戦略を活用して、売上が6倍に!

ベネフィット 写真2 ドッグフード事業を開始した当初は、月の売上は7万円ほどであったが、窓口の支援を受け、現在の売上は月に40万円まで上がった。では、商標出願支援以外にはどのような支援があったのか。
 まず一つ目は徹底したブランド戦略の構築支援である。もともと小林社長の作るドッグフードは、すべて手作りであるため、少量生産で高価格であった。既存の量販店で販売しても売上につながらないのは明白であった。そこで、ブランド構築を手掛ける専門家と共に何度もミーティングを行い、愛犬に対する健康思考や美味しいものを食べさせたいといった購買層にどう訴求していくかを検討。そういった購買層がどこで商品を購入するのか?安心・安全・健康志向のドッグフードというブランドを構築するために、販売店を限定し、売り込みを図ることとした。特に販売店については、直接出向いていき店員に試食してもらいファンを作るという方法で開拓し、小林社長の理念を理解する店舗と契約しているという。
 二つ目は、パッケージデザインを見直したデザイン戦略支援。パッケージを作りドッグフードを封入する作業も小林社長自ら行っているが、もともと使っていたラベルやパッケージは商品の価値を差別化するものではなかった。そこで、ラベルについては、商品の統一感を持たせるために小林社長が書いた犬の絵をラベルとして使い、商標登録されたドッグガレージの文字を入れることによって模倣品排除対策を行った。また、パッケージについても、購買層にあわせて形状を変えデザインもスタイリッシュに変更し、さらに商品が見えるようにパッケージに窓を作るなど工夫をこらした。その結果、大手ショッピングモールチェーンとも契約することができ販売数が劇的に増加したという。

事業拡大に向けてさらなる支援

ベネフィット 写真3 これらの支援で、上述のとおり売上は増加傾向にあり新たな販売先も増えることが見込まれることから事業規模や生産体制の見直しなど、新たな課題も発生している。月100万円の売上に向けて今後の事業計画を商工会・金融機関とも連携し計画的に事業拡大を検討していくことなった。
 知財総合支援窓口では商標出願といった相談であっても、その背景から経営上の課題を引き出し、連携機関とも協力しながら事業戦略の支援を行っている。
 小林社長の犬への愛情を、今後も知財という観点から支援していきたい。