<株式会社ビッグウィル>知財活用の鍵は窓口との強固な信頼関係!~独自技術と知財保護で地域貢献へ~

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 四方を豊かな自然に囲まれた徳島県東みよし町で、間伐材を「つき板」に加工、建築資材や様々な商品を製造・販売しているのが「株式会社ビッグウィル」である。

 今回は、「株式会社ビッグウィル」の代表取締役社長 近藤清美 氏(以下、近藤社長)と、同社開発部長 中西精一 氏(以下、中西部長)に、同社の商品開発と知財保護、今後の展望などについてお話を伺った。

地域貢献に向けた間伐材利用への挑戦

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 元々、福祉関連の仕事に従事していた近藤社長は、予てより自然保護活動への貢献と、地域の高齢者や障害のある方々へ生きがいのある職場を提供したいと考えていた。そんな折、着目したのが地元の森林整備により発生する間伐材を利活用した事業の創出である。そこで木材加工業に従事していた中西部長にタッグを持ちかけ、中西部長が有していた木材加工技術の改良、さらに独自の技術を開発し、技術確立の目途が立った2007年、「株式会社ビッグウィル」を創業・設立した。

 同社のつき板は、間伐材などの天然木材を厚さ僅か0.1mmという世界最薄水準に加工する高い技術により製造される。このつき板に裏打ちの紙を貼り合わせ、360°折り曲げても割れないという独自加工が施され、国土交通省の「不燃材料認定」「準不燃材料認定」「F☆☆☆☆等級 」を取得し、徳島県庁など公共施設の内装にも取り入れられた建築資材の「恋樹百景」や、様々な企業とコラボレーションにより商品開発されている「樹の紙」などの代表製品が生み出されている。

知財保護と窓口活用のきっかけ

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 前述したように高度な技術を持っているため、同社は知財に対しても非常に関心が高い。そのきっかけは、同社創業の契機となったつき板加工技術の特許出願について、当時特許庁が全国各地に派遣していた出願アドバイザーであり、現在は知財総合支援窓口(以下、窓口)の松本相談対応者に相談を行ったことである。

 旧事業から続く長年の支援により、同社と松本相談対応者の信頼関係は非常に強固なものとなっている。その支援内容は特許等の出願に関するもののみならず、技術情報の調査や侵害防止、各種契約書の作成にかかるアドバイス等多岐にわたる。現在では企業経営における知財活動全般の支援にまで及び、知財に関する総合的なパートナーシップ関係が築かれている。

窓口との連携で地域貢献へ

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 「知財の取得は、技術保護はもちろん、社員のやる気向上や付加価値のある商品創出には不可欠。知財は事業の根幹となるものであり、特に地方の中小企業にとっては必要なもの」と、近藤社長は語る。
 その考えの元には、まずベース技術を特許化して事業を開始し、松本相談対応者や窓口の専門家の支援により事業を軌道に乗せ、その結果、新工場設立や地域の雇用拡大といった地域貢献に繋がっていることがある。さらに、同社は今後、質の高さや薄さ、軽さといった同社つき板の強みを活かし、市場規模の大きい米国や中国など海外への販路拡大も視野に入れている。そのため、今後も窓口の協力を得ながら海外における権利取得を進めていく予定である。

 

 最後に、近藤社長に今後の展望を伺ったところ、企業理念として掲げている事業構想の循環図(下図参照)をより強く太いつながりにすることが目標だと語った。「株式会社ビッグウィル」の今後の更なる発展に向けて、知財総合支援窓口やINPITも知財面からサポートしていきたい。

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