<株式会社デイリーマーム>ゴボウを使った新商品開発への挑戦 ~知財保護から地域貢献へ~

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デイリーマーム 写真1


 ゴボウ生産量が国内トップクラスの宮崎県で製造される、ゴボウを使った新しいスナック菓子「ゴボチ」が今注目を集めています。

 そのゴボチを製造、販売している「株式会社デイリーマーム(以下、デイリーマーム)」にお邪魔し、商品開発のきっかけからヒットに至るまでの経緯、また製品に関する知財管理や今後の事業展望等について、代表取締役の和田優氏にお話をお聞きしきました。

――早速ですが、御社設立の経緯について教えてください。

 デイリーマームは「お母さん、おばあちゃんの代行業」をポリシーに平成19年4月に設立、私がもともと飲食業に従事しておったこともあり、同年6月から弁当業として事業を開始しました。

――お弁当業を営む傍ら、ゴボチの開発に着手するきっかけとなった出来事は何だったのでしょうか?

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代表取締役 和田優氏

 実はゴボチも元々はゴボウチップスとしてお弁当の惣菜の一つとして販売していた商品なんです。それをスナック菓子として開発するきっかけは、平成22年頃、口蹄疫の流行や新燃岳の噴火などの災害によるイベント中止が相次ぎ、お弁当の需要が減ったことです。

 その際、総菜の中で売り上げが好調だったゴボウチップスに着目しました。消費期限を延ばし、スナック菓子として売り出せないかと考え、宮崎県食品開発センターに相談し、共同開発を行うことになりました。

――開発で工夫した点、苦労した点などありましたか。

 新規参入商品を売り出していくためには、競合他社との差別化が必要と考えていましたので、競合他社の類似商品を徹底的に調査しました。その結果、宮崎県産ゴボウの使用にこだわり、またゴボウの風味を落とさない味付けや他商品より大きく切る製法を開発しました。多くの項目にこだわりをもった分、開発期間も長くなってしまい、完成まで約3年かかってしまいましたが、その甲斐あって売り出す前のモニター調査では、90%以上のモニターから美味しいという声をいただくことができました。

――そのようなこだわり抜いた商品がヒットするきっかけは何だったのでしょうか?

 農商工連携事例として新聞に取り上げられたことです。その記事が宮崎空港関係者の目にとまり、空港内で販売しないかとオファーをいただきました。ゴボチのヒットは、宮崎空港で大々的に販売されたことが大きな要因です。

――まさにピンチを「ひらめき」でチャンスに変えたのですね。宮崎県知財総合支援窓口(以下、「宮崎県窓口」)は、商標登録出願の相談で利用したということでしょうか。

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ママンマルシェ

 すでにひらがなで「ごぼち」を商標登録していたのですが、カタカナ「ゴボチ」やローマ字「GOBOCHI」も使用し始めていました。商品展開にあたり、それらについても商標登録出願をするため、宮崎県食品開発センターから紹介を受けて宮崎県窓口を利用しました。

 その後は模倣企業への対応や海外展開にかかる商標出願等、知財に関わることでは様々な面で宮崎県窓口を利用しています。アメリカや台湾などの海外への販路拡大も決まり、販売量増大に向けた生産量確保のために販売所やレストランを併設した複合型新工場を開設しました。それがこの「ママンマルシェ高鍋」です。

――「ママンマルシェ高鍋」の新設によって新規雇用も生まれ、地域への貢献につながったということですね。最後に御社の今後の展望を聞かせてください。

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和田氏(左)と杉本支援担当者(右)

 宮崎県窓口の支援によって、商標による防衛がしっかりでき、売上増大や販路拡大につながりました。

 今後の展望については2つ検討しています。1つは地元産品をもっと売り出していくこと、もう1つは日本の農業の躍進に寄与することです。そのためにも地元企業とのパイプを強くすることと、海外戦略をしっかり立てることが重要だと考えております。