<有限会社 京吉>「京吉」ブランドで富山の宝を世界発信

PDF

富山の老舗が作る「いかの黒作り」

京吉 写真1

 日本海に面する地域の中でも、富山湾は「天然のいけす」であり、500種類もの魚が生息していると言われている。「京吉」は江戸時代から続く老舗であり、古くから富山の海の幸を使い、塩干類の製造・販売を行ってきた。

 一押し商品は、京谷政秀社長の祖父の代から作り始めている「いかの黒作り」。いかの塩辛にいか墨を入れて黒くしたもので、参勤交代の時代から作られていたとされる文献も残っているほどで、富山では昔から伝統的に作られている。

 京吉の「いかの黒作り」は、じっくり長時間寝かせて作られているため、通常の商品よりもさらにねっとりとしているのが特徴。また、通常より塩分を抑えた減塩タイプを発売するなど、伝統を守りながら新商品の開発にも力を入れている。

窓口支援で国内外にて商標取得

 よろず支援拠点に販路拡大を相談した際、自社の商品にコンセプトをつけてみることを勧められたことがきっかけで、商品の商標登録を検討し始め、知財総合支援窓口を訪れた。

 国内での権利取得からスタートを切ったが、商品が海外で流通していることも踏まえて、窓口支援担当者から流通国での権利取得も進言された。また、取引先の大手食品会社からは、「京吉」という社名を国内外で商標登録するよう要請もあった。現在では日本に加えて、香港、台湾、中国での商標権を取得し、海外の売上も順調に増えている。

商標=会社の信用、商標取得で販路拡大へ!

京吉 写真1

 商標権を取得する前は、そのことを理由に取引が断られることもあったが、商標権の取得後は断られることがほとんどなくなり、他社との商談がしやすくなったと京谷社長は言う。マークや社名の権利を取得することにより、商品や会社の信用を高めることができるのも商標権の大きな特徴だ。

 商標の取得のほかにも、商品パッケージの変更などにも精力的に取り組んでいる。「京吉」の名前を世界ブランドにしていくために、より良いブランド戦略も模索している。

 富山で「いかの黒作り」をしているところは数件ほど残っているだけとなった。地域の財産とも言える「いかの黒作り」を後世に残すだけではなく、世界中に発信していきたいというのが京谷社長の熱い思いだ。