<ジャパンポーレックス株式会社>商標×特許でブランド化と模倣品対策。海外展開拡大で欧州売上3割増

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止まらない模倣品。その対策に見えた糸口

ジャパンポーレックス 写真1

 日本で初めて国立公園に指定された霧島連山の雄大な自然に恵まれた地、鹿児島県霧島市。この霧島市で、よりよい製品を届けることができるよう、「昨日より今日、今日より明日の技術開発」のために、社員達と共に日々努力を続けるのがジャパンポーレックス株式会社(以下、同社。)の二代目代表取締役上岡さんだ。

 同社では、25年程前から独自の成形方法により精巧なセラミック製品を開発し、岩塩、胡椒粒、胡麻、茶葉等を挽くセラミック製の刃のミル類等の家庭用品を中心に、製品の企画・開発から生産用機械装置の開発、工場での生産に至るまでを自社で行っている。そして、自社PORLEXブランド名で、今や日本国のほか海外36か国で展開している。

 上岡さんが代表就任時から、下請脱却を目指して少しずつ海外展開を進めていたが、上岡さんの頭を悩ませていたのが、取引のあった中国や台湾における模倣品被害だった。そんな中、かごしま産業支援センターの担当者と一緒に訪れたのが鹿児島県知財総合支援窓口だった。

模倣品に立ち向かうべく自社の知財を権利化

ジャパンポーレックス 写真1

 当時同社には、初代代表が取得していた特許や実用新案が幾つかあったが、上岡さんはじめ、社内における知的財産への意識はほとんどない状態。同社の製品は、商標や特許による保護もなく、無防備のまま世界に販売されていたのだ。

 相談を受けた鹿児島県知財総合支援窓口の濱石支援担当者は、知財総合支援窓口で相談可能な弁理士とともに、模倣品への対応について検討を重ね、まず自社名とそのロゴについて権利化すべく、商標出願を提案した。出願した商標は登録になったものの、すぐには模倣品被害は減らなかった。

 そんな中、コーヒーミルを改良する技術が完成した。この技術を用いた手挽きコーヒーミルを発売するにあたり、上岡さんらは再び濱石支援担当者と相談を重ねた。その結果、今回は発売に先駆け、その技術に関する特許を海外に出願しておくこととした。

模倣品対策の成功。順調な海外展開で、欧州では売上3割増

 無事に出願を済ませた後、「国際特許出願中」とパッケージに記載のうえ発売をした。すると、商標及び特許による二重の保護を行ったことにより、「特許を取っているなら安心して販売できる」、「パッケージだけでなく、内蔵されているセラミック製の刃にもPORLEXと入れて欲しい」「PORLEXブランドだから買う」という声から、顧客からの信頼も向上していることを実感した。

 これらの経験により、上岡さんも社員も事業展開において知財活動に戦略的に取り組むことの重要性を強く認識した。現在では、製品開発計画に必ず知財面の検討準備プロセスを入れている。そして、知財を意識し始める前に比べると、現在、欧州での売上は3割程増加したという。「その時点で世の中に存在しないものをつくる。」その思いを胸に、上岡さんと同社は今日もよりよい明日へ向け歩み続ける。